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【北海道新聞】 タカタ経営破綻 安全軽視の代償は重い

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 欠陥エアバッグ問題で経営が悪化した自動車部品大手タカタがきのう、民事再生手続きに入った。米部品大手の支援で事業を続け、裁判所管理下で再建を目指す。
 民間信用調査会社によると、負債総額は最終的に1兆7千億円に達する見込みだ。日本の製造業として戦後最大の経営破綻となる。
 トラブルの対応で初動を誤れば、培った信頼はあっという間に崩れる。数々の企業の破綻は、その現実を見せつけてきたはずだ。
 なのに、タカタは初動を誤るどころか、自社の都合を優先させ、初動を「怠った」と言うしかない。経営陣の責任は極めて重い。
 日米を中心に約1億件にも達するリコール(回収・無償修理)作業は、まだ途上にある。消費者の不安は払拭(ふっしょく)されていない。
 タカタは事態の収束を急ぐとともに、原因究明と再発防止に全力を尽くすべきだ。
 問題のエアバッグは10年余り前から作動時の異常破裂が確認され、飛び散った金属片による運転者らの死傷事故が続いた。
 驚くべきは、タカタが当初のトラブルを軽視し、直ちに抜本策をとらなかったことである。
 「安全性より利益や生産日程を優先させた」―。死者11人が出た米国の司法省が今年1月の声明で断罪したのも当然と言えよう。
 見逃せないのはタカタ側の、責任逃れとも受け取れる姿勢だ。
 株の半数超を握る創業家は、話し合いによる再建に固執した。裁判所が関与すれば、保有株が紙くずになりかねないからだろう。
 創業家出身の高田重久会長兼社長は、きのうの記者会見でようやく「深くおわび申し上げる」などと語った。しかし、それまで公の場で説明することはほとんどなかった。誠実さとはほど遠い。
 タカタは今後、新旧2社に分割される。新会社がシートベルト生産などを担い、旧会社は、自動車メーカーが立て替えたリコール費用を弁済していく見込みだ。
 これだと事故が起きた際の責任があいまいにならないか。事前に賠償の枠組みを作る必要がある。
 自動車メーカーも責任を免れまい。消費者はエアバッグ単体を買ったのではなく、車全体の安全を信じて購入したからだ。
 トラブル発覚後の早い段階でタカタとともに前面に立ち、対応に万全を期すべきだった。
 大型破綻で懸念されるのは連鎖倒産である。国には、タカタと取引のある中小企業の資金繰りをしっかり支えるよう求めたい。

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