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【北海道新聞】 公文書管理 抜け穴許さぬ法改正を

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 国政への信頼を高めるには政策決定過程の透明化が欠かせない。
 だから、公文書管理法は公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置付け、国に保存を義務付けている。
 情報公開法と併せ、国民と行政を結びつける車の両輪だ。
 ところが、その精神がないがしろにされている。
 財務省は、学校法人森友学園への国有地売却の記録について、保存期間を「1年未満」と定めた。既に廃棄したという。
 加計(かけ)学園の問題でも、政府は文部科学省にあった文書は「個人メモ」であり、本来は公開の義務がなかったと主張している。
 知る権利を保障する法律が骨抜きにされては、民主主義が成り立たない。政府は「1年未満」などの抜け穴をふさぐ法改正に早急に取り組むべきである。
 公文書管理法は各省庁に文書管理規則を設け、文書の種類ごとに保存期間を定めるよう求めた。1年以上なら文書管理簿に記載され、廃棄に首相の同意が必要だ。
 しかし1年未満なら管理簿に載らず、自由に廃棄できる。何が1年未満かの明確な基準もない。
 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣した陸上自衛隊の日報も防衛省は当初、1年未満を理由に廃棄したと言っていた。
 どんな文書が作られ、廃棄されたかが分からない、ブラックボックスのような規定である。
 国民に知られたくない事実を「なかったこと」にできる仕組みとも言えよう。「1年未満の保存」を、「未満ならいつでも廃棄できる」と読み替える。官僚がよく使う手だ。
 行政文書の定義も、都合よく解釈している。公文書管理法と情報公開法が「組織的に用いるもの」としていることを根拠に、ここでも職員が個人的に作成したメモは公開しなくていいと読み替えた。
 加計問題で萩生田光一官房副長官の発言を巡る文科省の文書も、作成した職員は個人メモとの認識で、誤って職場の共有フォルダに入れた。これが政府の説明だ。
 だが、一般に政治家の口利きなど国民が見過ごせない重要な記録ほど、官僚は公開を恐れ個人メモにとどめる傾向があるとされる。
 「組織的」の規定を撤廃し、あらゆる文書を公開対象とすれば、行政に対する政治家の不当な介入を抑止する効果もあるだろう。
 公文書は、後世に伝える歴史の記録にもなる。制度に不備があれば改めるのは当然である。

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