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【佐賀新聞】 オスプレイ決議

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 自衛隊が導入する新型輸送機オスプレイの佐賀空港への配備計画をめぐり、佐賀県議会が受け入れを容認するよう決議した。
 決議文は「国の防衛は国土と国民を守り、わが国の独立と平和を守る礎だ」と指摘した上で「県議会として計画を受け入れるべきだと判断せざるを得ない。県に受け入れ判断を要請する」と求めている。
 防衛省の計画打診から3年がたつ。いつまでも先送りして、防衛省が描いた計画のスケジュールを狂わせたくない、来年度予算の概算要求の時期を控えているという事情もある。議論が煮つまらないまま秋になれば、地権者である漁業者が繁忙期を迎えるため、それまでに議論を加速させたいという思惑もあったのだろう。
 だが、いくつもの課題が積み残されたままだ。
 すでに米軍がオスプレイを配備した沖縄県では、県議会をはじめ、各町村議会でオスプレイの安全性を疑問視し、「事故原因の徹底解明」や「配備撤回」を求める決議が相次いでいる。
 それも当然だろう。昨年12月には沖縄県名護市でオスプレイが大破し、一歩間違えば、市民に犠牲が出てもおかしくなかったが、在沖米軍トップは県民への被害を避けたとして「感謝されていいくらいだ」と言い放った。その事故調査報告書は6カ月以上たっても、いまだに公表されていない。
 沖縄県の各議会は、県民の不安をしっかりと受け止め、県民の安全・安心のために、国や米軍に働きかけようと汗をかいている。それに対して、佐賀県議会の受け入れ決議は、県民の不安に寄り添ったと言えるだろうか。
 県民世論は賛否が大きく割れている。防衛省はこれまで、住民や地権者向けの説明会を開いてきたが、不安の声や反対意見が根強い。特に漁業者については、国営諫早湾干拓事業(長崎県)も絡み、国の対応への不信感がある。
 今回の決議の最大の問題は、受け入れに当たって「漁業者の理解促進に努める」などと求めてはいるものの、「漁業者による同意」を前提条件にしていない点である。これでは単に努力目標にすぎず、実効性がどれほど担保されるのか、極めて疑わしい。成り行き次第では漁業者を切り捨てるつもりだと受け取られても仕方ないのではないか。
 ましてや、県が公表した論点整理に対して、県民から広く意見を募り、集約しているさなかでもある。どのような意見が寄せられたのか、それさえ見極めずに決議を急いだ姿勢は理解に苦しむ。
 もうひとつ指摘しておきたい。安倍晋三首相は昨年10月、国会で沖縄の負担軽減を問われて「訓練の一部を佐賀で行うということで進めている」と答弁した。今回の計画は、自衛隊機という枠組みで進められてはいるが、将来的な米軍による利用を完全に排除したわけではない。いつ米軍がやってくるのか、不安が依然としてくすぶる。
 やはり、今回の決議はあまりにも性急すぎる。山口祥義知事が受け入れ表明しやすいようにと露払い役を務めたつもりかもしれないが、前のめりな県議会の姿勢はかえって県民を失望させ、不安をかきたてるのではないか。(古賀史生)

One comment

  1. yakky

     この新聞の社説では、「いくつもの課題が積み残されたまま」と云っているが、課題としてあげているのは、①オスプレイの安全性の問題と②米軍の訓練移転の問題の2点だけである。

     現在の状況における自衛隊オスプレイの佐賀県の誘致要請において問題なるのは、①のもし万が一の事故の場合についてであり、②については、現在日本の各地の空港と同様に検討されているものであろう。

     また、①にしても、機械であれば故障する可能性は「ゼロ」では無いので、飛行機であるオスプレイも、墜落する可能性はあるが、他の航空機と比較して大きいとはいえない。
     特にこの点については、飛行場の周辺に民家等が少ない佐賀空港にとって、安全性の確保という点からは、非常に有利であると思われます。

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