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【京都新聞】 サンマ漁獲枠  科学的な情報で説得を

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 日本や中国、台湾など8カ国・地域が水産資源保護策を話し合う北太平洋漁業委員会(NPFC)の会合が札幌市で開かれた。日本が提案したサンマの国・地域別漁獲枠の新設は合意できなかった。
 乱獲や資源減少を防ぐ狙いだったが、各国の主張の溝の深さが浮き彫りになった格好だ。実現の見通しは厳しいが、日本は来年の会合で再び協議する意向だ。資源量が激減したマグロやウナギの二の舞いを演じてはなるまい。丁寧に参加国の説得を続けてほしい。
 秋の味覚の代表格であるサンマは、北太平洋の日本近海から米国沿岸まで広く生息し、日本の漁獲量は年20万~30万トン程度で長くトップを占めていた。近年、アジアの漁獲量が増え、2013年以降は台湾が漁獲量1位になり、中国も急増する一方、日本は15、16年に11万トン台に低迷している。
 消費者が鮮度を重視する日本では、小型船による沿岸漁が中心だが、台湾や中国は、日本の沿岸から400キロ以上離れた公海上で、サンマの回遊ルートに先回りする形で大型船が数カ月漁を行い、魚を冷凍して運ぶ漁法だ。
 日本は北太平洋西側のサンマ資源量が03年の502万トンから16年は178万トンに減ったと推定し、日本近海への来遊量も激減したと懸念している。このため、国・地域別漁獲量を提案した。
 提案は、年間漁獲上限を約56万トンに設定し、日本24万トン、台湾19万トン、中国4万7千トン、ロシア6万トン、韓国1万9千トンなどに割り当てる内容だった。これに対し、中国は資源量減少の認識も受け入れず強く抵抗。韓国、ロシアは時期尚早などとして反対した。
 枠は漁獲実績などを参考にしたが、日本が余裕のある枠を確保し、16年に6万3千トン(公海のみ)だった中国は削減を迫られることから反発を招いた面はある。公海上の漁は自由という原則のうえ、資源量は海水温や海流の変化などの自然条件も影響するとの指摘もある。より精度の高い科学的根拠を示す必要があるだろう。
 一方、会合では、今年末ごろから1年間に限って、中国や台湾、韓国などの遠洋漁業国が自国の漁船許可数の増加を禁止することでは一致した。これまでの「急増を避ける」との合意から踏み込んだことは評価できる。適正な漁獲量規制への一歩にしてほしい。
 ただ、北太平洋では中国漁船などが違法操業をしている疑惑もある。各国は会合で確認した取り締まり強化で協調してほしい。

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