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【京都新聞】 「貨客混載」  地域潤す「芽」となるか

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 小さな試みだが、地域活性化へのヒントが詰まっていそうだ。
 乗客のいる列車で農産物を輸送する全国初の「貨客混載」の取り組みが、京丹後市内を走る京都丹後鉄道(丹鉄)で始まっている。
 丹鉄の久美浜駅で集荷した地場野菜を22キロ先の峰山駅まで運び、最寄りの販売拠点「道の駅」へ陸送する。これまで道の駅まで往復約50キロを2時間もかけて自家用車で運んでいた農家は、近くの久美浜駅に持ち込むだけで済むようになる。労力は大幅に節減される。
 高齢化が進む地方の農家は、運搬などの手間が大きな負担になっている。一方、地方の鉄道は利用者が減って苦しい経営を余儀なくされているところが少なくない。
 負担を減らしたい農家と、運賃収入を増やしたい丹鉄の双方のニーズを組み合わせた結果、新たな「モノの流れ」が生まれた。この流れを太くし、地域を潤す仕組みづくりにつなげてほしい。
 昨年度に改正された物流総合効率化法に基づき、認定された。深刻なドライバー不足や環境負荷低減などを背景に、トラック輸送を船舶・鉄道に転換するモーダルシフトの実現を目指している。
 農産物ではないが、すでに複数の宅配便業者が地方鉄道や路線バスを使って荷物を輸送する試みを新潟県や岩手県で始めている。
 人口減で列車やバスに空きスペースが存在していることを逆手にとり、配送の効率化につなげるアイデアといえるだろう。空席も「地域特有の資源」と考えれば、有効に組み合わせることで新たな需要を掘り起こすこともできる。
 京丹後市で昨年スタートした「ささえ合い交通」も同じ発想だ。住民が自家用車を使って過疎地の高齢者らを有償運送する取り組みだ。時間に余裕のある住民、多くの人が所有するマイカーという「地域資源」の活用が、公共交通の恩恵を受けられない高齢者や観光客の移動手段となっている。
 人や物の動きが少なくても、工夫次第で新たなサービスを創りだし、地域ビジネスの芽につなげていける可能性を感じさせる。
 丹鉄を運営するウィラートレインズは、農産物以外の沿線の特産品にも注目しているといい「空席に人だけでない何かを乗せるビジネスモデルにしたい」と話す。住民の要望や意見を聞き、潜在的なニーズをさらに発掘してほしい。
 足りないことを嘆くのではなく、この地だからこそできることを探す。地域づくりへの処方箋になりそうな気がする。

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