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【岩手日報】 核再処理施設廃止 国民の肩に重い1兆円

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 日本原子力研究開発機構の再処理工場「東海再処理施設」(茨城県東海村)の廃止費用が約1兆円に上るという。原子力規制委員会に同機構が廃止措置計画を認可申請し、明らかになった。
 作業を終えるまでに約70年を要する見通しだが、経験のない難しい作業を伴うことから、費用はさらに膨らむ可能性がある。
 機構は国の交付金で運営されているため、費用は国民の負担となる。原子力事業の巨大なコストが国民の肩に一層重くのしかかる。
 核燃料サイクルに不可欠な使用済み核燃料の再処理。その技術を進める目的で設置された同施設は1981年に本格運転を開始し、国内の原発から出る使用済み核燃料の一部を扱った。老朽化などのため廃止が決まっていた。
 機器や設備の除染・解体、放射性廃液の処理、輸送・埋設に要する1兆円という費用の規模は、商業用原発1基の廃止費用の10倍以上。処分先未定という難題も抱える。
 そのような条件の下で、しっかりと廃止作業を進めていかなければならない。しかし、同機構の運営能力には不安を感じざるを得ない。
 ずさんな管理が明らかになっているからだ。「大洗研究開発センター」(同県大洗町)の被ばく事故は、核物質を入れた容器の管理不備を露呈した。他の施設にも同様な状況が見られるだけに、東海再処理施設で順調に作業が進むか心配が募る。
 それにしても、さまざまな原子力施設が後々まで与える負担の大きさには、憂慮を深くさせられる。
 同機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が代表的。核燃料サイクルの要となるはずの施設で、1兆円超の国費が投じられたが、運転実績がほとんどないまま廃炉となった。機構や国の甘い姿勢がツケを積み重ねたと言える。そして、廃炉にも最低で3750億円かかると試算されている。
 核燃料サイクルは存続。東海施設の技術は日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)に引き継がれている。
 同工場は完成延期を繰り返しており、事業費も膨らんだ。工場建設費や40年間の運転費などの総事業費は約13兆9千億円に達する。
 将来の廃止費用には約1兆5千億円を見込む。処理能力が東海施設の約4倍であることを踏まえると、さらに要する可能性も出てこよう。
 このような費用は電力各社から集められ、結果として利用者の電気料金で賄うことになる。
 核燃料サイクルをどうするか。国や業界は負担の面からも再検討する必要があるのではないか。
 

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