Home > 社説 > ブロック紙 > 北海道新聞 > 【北海道新聞】 太平洋のサンマ 漁獲枠新設を急ぎたい
E035-HOKKAIDO

【北海道新聞】 太平洋のサンマ 漁獲枠新設を急ぎたい

そう思わないそう思う (-1 点, 1 投票)
Loading...

 公海の漁業資源保護を議論する北太平洋漁業委員会(NPFC)の会合が札幌で開かれ、焦点となったサンマの漁獲枠新設は合意に至らなかった。
 近年の国内のサンマ漁獲量減少を解決する手段として期待されていただけに、残念である。
 加盟8カ国・地域が操業隻数の増加を禁じることで一致したのは一歩前進だが、枠が設けられないまま漁獲競争が続けば、資源が枯渇し、共倒れしかねない。
 来年の会合でも、日本は再び漁獲枠新設を提案する方針だ。粘り強い交渉を求めたい。
 日本政府は、公海と排他的経済水域(EEZ)を含め、過去の漁獲実績を踏まえて年間56万4千トンの総枠設置を提案した。内訳は日本24万2千トン、台湾19万1千トン、中国4万7千トンなどだ。
 日本を上回る漁獲量を誇る台湾はこれに賛成する一方、ここ3、4年で漁獲量を急増させた中国に加え、韓国も反対した。公海でのルールづくりの難しさが浮き彫りになったと言える。
 反対した国には、枠が設置される前に漁獲実績を積み上げたい意向もあるのだろう。
 加盟国間の認識の差も大きい。中国は資源量が減ったと考えておらず、韓国は漁獲枠について「時期尚早」との姿勢を示した。
 日本のサンマ漁不振の背景には、暖水塊が沿岸に居座り、好漁場ができない要因もあるが、日本近海を回遊する前に、公海で他国が大量に捕獲する現実もある。
 原因が特定されていないとはいえ、手をこまぬいて漁獲競争の過熱を放置するわけにはいかない。
 日本の調査では2008年に461万トンに上った北太平洋のサンマ資源量は昨年、4割以下の178万トンに激減した。危機意識の共有には、他の加盟国・地域との共同調査も有効だろう。
 漁業枠を提案する際にも、単に漁獲実績から割り出すだけではなく、資源全体の減少傾向とその見通しについて、説得力のある根拠を提示しなければならない。
 漁業者や漁船ごとの漁獲割り当てなど資源管理が徹底したノルウェーでは、枠内で効率よく利益を出す漁業が確立している。
 こうした事例を参考に、量の競争から、魚の付加価値を上げる質の競争へと移行を図ることも資源管理に大切な視点である。
 日本が、鮮度管理、加工技術などサンマで培った手法を、他の加盟国に伝えることも、相互理解と歩み寄りに役立つはずだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。