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【北海道新聞】 犯罪被害給付 制度拡充への第一歩に

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 犯罪被害者や遺族に国が給付金を支払う制度について、警察庁の有識者検討会が、支援を拡充するための提言をまとめた。
 原則不支給としている親族間の犯罪で、18歳未満の遺児を特例として認め、離婚調停中の夫婦など関係が事実上破綻している場合も幅広く支給することが柱だ。
 殺人事件の半数以上は親族間で起きている。現行の支給条件の緩和は、被害者側にとって長年の願いだっただけに、提言の内容は大きな前進と言えよう。
 警察庁は今後、国家公安委員会規則などを改正し、来年度からの実施を目指すという。引き続き、救済を拡大する方向で不断の努力を続けてもらいたい。
 親族間犯罪を巡っては、児童虐待やドメスティックバイオレンス(DV)などを除き、原則として支給の対象にはならない。
 「生計が同一だと加害者の利益につながる恐れがある」といった理由が挙げられてきた。
 「家族の問題は家族で解決すべきだ」という通念が、親族間犯罪への公費投入を足踏みさせていた面も否めない。
 しかし、1981年の制度開始時に比べ、家族の形態や関係は多様化している。
 提言が、家族に関する一般論ではなく、現実の具体的事例に即して支援拡充の必要性を唱えた点を評価したい。
 特筆すべきは、18歳未満については加害者との関係を問わず、支援の対象にしたことだ。
 例えば、夫婦間の殺人の場合、現行では支払われない遺児への給付金は、基本的に支給される。
 事件の遺児は生活が困窮し、進学などがままならなくなるケースも少なくない。自活や自立を後押しするのは国の責務である。
 経済的な手助けにとどまらず、心のケアの拡充なども求めたい。
 提言が、親族間犯罪とは別に、8歳未満の遺児支援を手厚くしたのもうなずける。
 18歳までの補償を明確に示したが、大学進学などを考えれば、支給年齢を一層引き上げることも検討してほしい。
 気になるのは、重傷病を負った被害者への医療費の支給期間である。心的外傷後ストレス障害の治療などは長期に及ぶ。
 現行の1年から3年に延長するというが、十分とは言えまい。
 改善の余地はまだある。今回の提言を、被害者の実情に目を配りつつ制度を練り上げる出発点としなければならない。

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