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【北海道新聞】 日銀物価目標 2%への固執は疑問だ

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 日銀はきのうの金融政策決定会合で、消費者物価2%上昇の目標達成時期を「2019年度ごろ」と1年先に延ばすことを決めた。先送りはこれで6度目だ。
 看過できないのは、逃げ水のように遠ざかる「2%」を追いかけ、4年余りにわたって続けている異次元緩和の副作用である。
 日銀が銀行に資金供給するために購入した国債は427兆円に達し、発行残高の4割超を占める。
 債券市場の機能はゆがみ、日銀が将来、国債の保有を減らす際には金利の急騰を招きかねない。
 見通しの全く立たない「2%」に固執せず、金融政策の転換を図るべき時期なのではないか。
 日銀は13年春、デフレ脱却を目指して異次元緩和を始めた。
 市中にお金を大量供給すれば、企業や家計に「インフレが起きそうだ」との心理が働き、物価が上がる。企業業績は好転し、賃金も上向く―との想定だった。
 黒田東彦(はるひこ)総裁は当時、2%の物価目標について「2年で実現する」と明言した。だが思うように物価は上がらず、いまや来春の総裁任期満了の後に先送りされた。
 はっきりしたのは、人々の心理に働きかける異次元緩和が短期的な効果しかなかったことだ。
 当初こそ「黒田バズーカ」と呼ばれた大胆な緩和策に市場が驚き、株高・円安の流れができた。
 4年たったいま、企業は円安効果で稼いだ利益を内部留保としてためこみ、バブル期を上回る人手不足にもかかわらず、賃金は伸び悩んだままである。
 賃金が増えなければ、消費は上向かず、物価も上がらない。
 企業の守りの姿勢を解き、賃金を増やすよう導くのは、日銀の仕事ではない。安倍政権が経済政策を通じて解決すべき課題である。
 デフレ脱却を日銀任せにしてきた政権の責任も重い。
 心配なのは、もはや効果の疑わしい異次元緩和が確実に日本経済をゆがめていることだ。
 長期金利が0%前後に固定され、国債を発行しても利払いがほとんど生じないため、国の財政規律の緩みが目立ち始めている。
 一方、資産運用の利回り悪化で金融機関の収益は圧迫され、企業年金の積立額不足、生命保険の予定利率下げなど国民の将来への不安を助長する副作用も目に付く。
 日本は曲がりなりにも経済成長が続く。次の不況で刺激策を打つ余力を残すためにも、日銀は国債購入を徐々に減らすなど「出口戦略」の検討を急ぐべきだ。

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