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【北海道新聞】 「朝鮮学校」判決 解決の糸口探る努力を

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 国側の主張を全面的に認める判決だった。
 高校無償化法の適用を巡り、国が朝鮮高級学校を対象外としたことの是非を問う裁判で、広島地裁は「国の裁量範囲を逸脱したとはいえない」とし、原告である広島朝鮮学校側の訴えを退けた。
 全国五つの同種の訴訟で初めて示された判断である。
 国は「朝鮮学校は北朝鮮や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の影響下にあり、無償化の資金が授業料に充てられない懸念がある」と主張していた。
 しかし、無償化の目的は、日本に暮らす全ての子どもの教育費を軽減し学習機会を保障することにある。制度の趣旨に照らせば、今回の判断には疑問が残る。
 判決は「学校の運営が適正に行われない恐れがある」との国の主張を追認し、「無償化の対象外となったのは、支給要件に該当しないため」と結論付けた。
 「民族教育を受ける権利を含む学習権や、憲法上の平等権の侵害」といった学校側の問いかけに正面から答えたとは言い難い。
 高校無償化法は、旧民主党政権下の2010年度に施行された。
 朝鮮学校への適用を巡っては、拉致問題などを理由に当初から賛否が分かれ、結局、自民党政権に交代した13年、文部科学省は適用除外とした。
 朝鮮高級学校は生徒が民族のルーツや言葉を学ぶ場という側面を持つ。札幌を含め全国10校あり、在籍者は1300人を超す。韓国籍の生徒も多い。
 現在も未来も日本社会でともに暮らす隣人である。
 教育支援の枠外に放置していいはずがない。
 排外主義やヘイトスピーチを助長する恐れもある。
 1989年に民族的少数者の学びを保障する「子どもの権利条約」が採択されて以降、高体連出場を認めたり、大学を受験しやすくするなど、多くの分野で朝鮮学校への垣根は下げられてきた。
 無償化の適用除外は、こうした流れにも逆行する。政府は制度の理念を踏まえ、見直すべきだ。
 無償化の支援は個々の生徒に対して行われるが、学校が代理で受け取ることになっている。
 公費による助成であるからには、使途の透明性を確保するため、情報公開に努めるのは当然だ。朝鮮学校も例外ではない。
 これ以上生徒が不利益を受けぬよう、国、朝鮮学校双方が解決に向けて努力してもらいたい。

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