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【北海道新聞】 概算要求基準 「青天井」は認められぬ

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 政府は2018年度予算の概算要求基準を閣議了解した。
 過大な予算要求を防ぐための上限設定は5年連続で見送られ、各省庁の要求総額は4年連続で100兆円を超えそうだ。
 しかし、国の財政事情は1年前と比べても厳しさを増している。
 16年度の税収は7年ぶりに減収に転じ、政府公約の財政健全化目標も達成が絶望的な状況だ。
 にもかかわらず、青天井の要求を認め、歳出抑制の努力をしようとしない安倍政権の姿勢には疑問を禁じ得ない。
 今回の概算要求基準では、新たな看板政策「人づくり革命」の関連施策向けに4兆円程度の特別枠を設けた。
 財源は、公共事業費などの裁量的経費を前年度比で10%削減することなどによって捻出する。
 だが、人づくり革命が対象とする事業は、地域経済、中小企業、サービス業の生産性向上や人材育成など幅広く、結局は「何でもあり」となる懸念が拭えない。
 政権がこれまで掲げてきた「女性活躍」「1億総活躍社会」との重複も気になる。これまで予算化された類似事業の効果を検証するのが先ではないか。
 そもそも、いまの国の財政は、安易に歳出のタガを緩められる状況にはないはずだ。
 深刻なのは、安倍晋三首相が「アベノミクスの果実」と自画自賛してきた税収の減少だ。16年度の国の税収は55兆4600億円で、前年度を8千億円下回った。
 当初予算段階の見込みと比べて2兆1千億円も少なく、年度途中で赤字国債を発行して穴埋めしなくてはならなかった。
 国と地方の政策経費が税収で賄えるかどうかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)は20年度に8兆2千億円もの赤字が見込まれている。
 1年前の時点の試算から2兆7千億円も悪化し、政府が財政健全化の目標として掲げている「20年度までのPB黒字化」の達成はほぼ不可能となった。
 PBは、国家財政の持続性を市場が判断する目安の一つとされる。黒字化達成が困難な状態を放置し続けるべきではない。
 安倍政権は経済成長で税収を増やし、その「果実」を使って、次の成長と財政再建につなげる道筋を描いてきた。
 その前提が崩れた以上、「経済成長」や「人づくり」などに名を借りた安易な歳出は厳に抑制すべきである。

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