Home > 社説 > 政党・宗教団体 > 社会新報 > 【社会新報】 陸自「日報」隠し 背景には「戦闘ではなく衝突」答弁
e321-shakai

【社会新報】 陸自「日報」隠し 背景には「戦闘ではなく衝突」答弁

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 陸上自衛隊の南スーダンPKO(国連平和維持活動)「日報」の隠ぺいに稲田防衛相が加担していたのではないかとの疑惑について、衆参両院の予算委閉会中審査で、陸自内でのデータ保管は「報告はされなかった」との3月の答弁は虚偽だったのではないかとの野党の追及に対し、防衛相は「非公表を了承することはない」と繰り返した。安倍首相も、命じた防衛相自身を対象外とする特別防衛監察に代わる第三者による調査の必要性を否定した。
 やや複雑なこの問題の経過を振り返ってみよう。昨年12月初め、防衛省は「陸自が廃棄した」として日報不開示を決定。同月末、統合幕僚監部(統幕)内でデータが発見されたというが、この事実は翌年1月末まで防衛相に報告されず、この間に首相は廃棄されたことを前提に文書管理は適切に行なわれたと答えている。
 ところが同月には陸自内でデータが見つかったとされる。統幕データは2月7日に公表され、その後に陸自が防衛監察に対して「防衛相に報告した」と説明している問題の幹部会議が開かれた。3月中旬になると一部報道で陸自内のデータ保存が発覚し、「報告はされなかった」答弁となる。
 一連の経過を見ると、陸自による破棄は初めからうそだったことを隠すための口裏合わせが1月に陸自内で集中的に行なわれ、防衛相はこれを後から追認したという強い疑いが浮上する。文民統制が機能しているどころではない話だ。
 看過できないのは、その幹部会議では「個人が収集したデータであり公文書ではない」との認識が共有され、これを受け非公表・削除方針が決められたとされていることだ。森友・加計疑惑で露呈した、保存・開示の対象となる行政文書の範囲を狭く解釈する政府の態度が端的に表れている。
 さらに忘れてならないのは、この問題のそもそもの火種は、統幕データ公開後に飛び出た防衛相の、南スーダンで起きたのは「戦闘行為ではなく衝突」答弁であることだ。戦争法の一環である自衛隊PKOの任務拡大、すなわち憲法9条に抵触する海外派兵の実態という、安全保障政策上の最高度の焦点となっている問題が背景に存在するのだ。
 北朝鮮の弾道ミサイル発射などを受け頻繁に開かれているNSC(国家安全保障会議)の場で、この重大問題に関わる日報の扱いが報告あるいは議論されたことはないのだろうか。首相の関与も問われる事態だ。 (社会新報2017年8月2日号・主張より)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。