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【読売新聞】 建設労働時間増 受発注者の協調で是正したい

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 建設現場の作業員の負担増が深刻化している。工事の受発注者双方が協調し、長時間労働の是正につなげたい。
 新国立競技場の建設工事に従事していた23歳の建設会社社員が4月、長野県内で死亡しているのが発見された。過労自殺との見方が出ている。
 2020年東京五輪の準備や、首都圏再開発などで建設需要が増加している。重労働の印象によるなり手不足も重なり、一人一人の労働時間は長くなりがちだ。
 建設業の年間労働時間は全産業平均より300時間以上も長い。建設現場の休日は「4週4休以下」が6割を超える。
 作業員は急速に高齢化が進んでいる。長時間労働を放置すれば、志望者が一層減る悪循環を招こう。対策は待ったなしだ。
 建設業は、時間外労働の上限を定める労働基準法の適用外とされる。悪天候などで一時期に作業が集中することがあるためだ。
 政府は3月に決めた「働き方改革実行計画」で、建設業も上限規制の対象にする方針を示した。秋の臨時国会に労基法改正案を提出する見通しだ。
 建設業界は、今秋から時間外労働の上限を自主的に設け、段階的に環境改善を図るという。
 現場の声を十分に汲(く)み上げ、実効性のある取り組みを着実に進めねばならない。
 最近は、資機材の運搬、測量などにロボットや小型無人機「ドローン」を活用する動きが増えている。こうした最新の省力化技術は問題解決の一助と期待される。
 発注側の協力も欠かせない。
 建設業界には、工事契約に作業の週休2日を明記する案がある。現場の休日増は、工期の長期化で費用がかさむ要因となるため、発注者の理解がカギとなる。
 国土交通省発注の国直轄事業では、今年度から、作業員が週休2日を取得できるよう工期を長めに設定している。
 政府は、官民を問わず全ての建設工事で、適正な工期を設けられるよう指針を作り、発注者らに働きかける方針だ。
 工期の延長で増加するコストを下請け業者に押しつけるようなことがあってはなるまい。
 国や自治体は年度ごとに工事を発注するため、年度後半に作業が集中しがちだ。年間を通じた柔軟な工期の策定が重要になる。
 作業員の労働時間が少なくなれば、収入の減少に直結する。熟練度を賃金体系に加味することなども課題となろう。

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