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【秋田魁新報】 人づくり革命 新奇な看板より実績を

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 「人づくり革命」という大仰なネーミングに、違和感を持つ国民は多いのではないか。安倍政権が打ち出した新たな看板政策のことである。3日発足した改造内閣では「人づくり革命担当相」が新設された。
 安倍晋三首相が通常国会閉会後の6月の会見で表明した「人づくり革命」は、人生100年時代を見据えたもので「年齢や家庭の経済事情にかかわらず学ぶことが可能な『誰にでもチャンスあふれる日本』をつくる」のが目的という。
 政策メニューとしては教育無償化や社会人が学び直す「リカレント教育」の推進、新卒一括採用に頼らない多様な企業採用と高齢者雇用の促進などを挙げている。具体的な施策を検討するために有識者でつくる「人生100年時代構想会議」を9月中に設立して年内に基本方針を策定、施策の一部は2018年度予算に反映させる方針だ。
 政策の方向性自体については異論を挟む人は少ないだろう。しかし、これをなぜ「革命」とまで呼ばなければならないのかという疑問に加え、安倍政権が果たして本気で取り組むのだろうかとの懸念は拭えない。
 安倍政権はこれまで「地方創生」「すべての女性が輝く社会」「1億総活躍社会」「働き方改革」などと看板政策を毎年のように替えてきた。国民に聞こえの良いスローガンは並べるものの、その政策効果の検証がなされた形跡はない。
 例えば14年に掲げた「地方創生」にしても東京一極集中に歯止めをかけることはできず、国機関の地方移転も進まない。地方からは「看板倒れだ」との批判の声も上がるが、現在の政府には抜本的にてこ入れしようという姿勢が見えない。
 安倍政権の看板政策が検証されないまま猫の目のように変遷することについて、石破茂・元地方創生担当相は「NHKの大河ドラマではない。1年ごとに出し物が替わるのは、あまりいいと思わない」と疑問を呈している。選挙や内閣改造のたびに新たに掲げるスローガンが、政権の人気取りの道具になっていないか。
 今回の「人づくり革命」についても、国民や野党からは「言葉だけが躍っている」「どんな人間をつくろうとしているのかよく分からない」といった厳しい指摘が出ている。
 幼児教育から大学・大学院まで無償化した場合、年間4兆円以上の追加費用が必要とされるが、厳しい財政状況の中でいかにして財源を確保するのか。生涯教育や高齢者雇用などの政策メニューも従来の「働き方改革」や「1億総活躍」との重複感は否めず、役割分担など今後詰めるべき課題は多い。
 首相はアドバルーンを揚げるだけでなく成果を上げるための具体策を国民に説明すべきだし、これまでの政策の検証も早急に行う必要がある。問われているのは政権の本気度である。

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