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【富山新聞】 核のごみ処分場 国民的議論始める契機に

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 原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場をどこに造るか。その適地を色分けで示す「科学的特性マップ」を政府が公表した。
 具体的には、地層の長期安定性に関して「好ましくない特性があると推測される場所」を黄色に、「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」を薄緑に色分けし、特に海岸から近く、「輸送面でも好ましい地域」については深緑で表記した。
 北陸3県は、火山である白山を中心に「好ましくない」場所があるものの、大半が深緑に塗られている。処分地の適地がこれほど広範囲にあるのは意外にも思える。
 現在、使用済み燃料は、ガラス固化体に換算して計2万5千本に達しており、年々増え続けている。これらをできるだけ早く、地下300メートルより深い岩盤に埋め、数万年から約10万年にわたって生活環境から遮断する必要がある。
 地図の公表は地層処分についての国民の理解を深め、処分場選定に向けた議論を始める契機になるだろう。
 政府は2002年から処分場を受け入れる自治体を公募してきた。高知県東洋町が一時手を挙げたが、住民の反発ですぐに撤回された。最初の文献調査で最大20億円、次の概要調査で最大70億円の交付金が入るとはいえ、いわば究極の「迷惑施設」だけにハードルは極めて高い。
 半島のほとんどが深緑で塗られた能登では、2007年に2千棟超の家屋が全半壊し、死者1人、負傷者300人以上に上る地震があった。このとき、震源域の海底では活断層が動いた形跡があるとみられるが、仮に処分場が近くにあったとしたら、本当に影響を受けなかったのだろうか。いつでもどこでも地震が起こりうる日本では、そんな疑問が尽きないからである。地図で適地とされた地域の自治体が自ら進んで手を挙げるとは思えない。
 最終処分地を決めたフィンランドやスウェーデンは、どのようにして適地を選び、住民を説得したのか。先進地に学び、ハードルを下げていく努力が欠かせない。

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