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【日経新聞】 一方的な措置では公正な貿易実現できず

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 トランプ米大統領は、中国の不当な政策によって米企業の知的財産権が侵されていないかどうかを調査するよう米通商代表部(USTR)に指示した。米通商法301条に基づく一方的な制裁実施を視野に入れた決定だ。
 日米欧企業の間では、技術移転の要求を含め、中国での知的財産権侵害に対する不満が強まっている。米国がこれに強い態度で臨むこと自体は間違っていない。
 問題は、高関税などの制裁を脅しに使って中国に対応を迫っても効果が期待できないことだ。実際に一方的な制裁に踏み切れば、世界貿易機関(WTO)のルールに抵触するのは明白で、中国はWTO提訴や報復で応じるだろう。
 それよりも、日欧など同じ問題を抱える国や企業と協調して中国に圧力をかけるほうが効果的だ。中国は先進国企業からの投資をなお必要としている。各国が一体になって知的財産権の侵害防止を求めれば無視するのは難しい。
 これは米国が検討中の安全保障を理由にした鉄鋼の輸入制限についてもいえる。鉄鋼問題の核心は中国の過剰設備だ。国際的な枠組みの下で、中国に設備削減を迫るのが得策だ。一方的な輸入制限は自由な貿易秩序を傷めるだけだ。
 当面の問題解決には直結しないが、環太平洋経済連携協定(TPP)の戦略的な意義を見つめ直すことも重要だ。TPPには中国の不公正な貿易・取引慣行の変革を促す役割も期待されるからだ。
 TPPは国有企業への不当な補助禁止や知的財産権保護、質の高い投資ルールを盛り込んでいる。これを世界標準にすることで、中国が異質な経済の仕組みを見直さざるを得なくなることを狙っていた。トランプ政権は就任早々、TPP不参加を表明したが、それによって中国への対抗策を自ら封じ込めていることに気づくべきだ。
 TPP不参加の愚かさは16日に始まった北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉にも表れている。米国が求める環境・労働基準の強化や電子商取引に関する規定は再交渉の相手国であるカナダ、メキシコも参加するTPPにすでに含まれているからだ。
 ただ、米国がNAFTAの新協定に貿易不均衡是正や為替操作の防止も盛り込もうとしているのは要警戒だ。これが実現し、今後米国が進める貿易協定のひな型になるようなら、日本にも悪影響が及ぶ可能性がある。

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