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E025-NIKKEI

【日経新聞】 韓国は徴用工問題蒸し返すな

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 日韓の歴史問題をめぐる文在寅(ムン・ジェイン)大統領の対応には大きな疑念を抱かざるを得ない。慰安婦問題に続き、こんどは日本の植民地統治下で労働に従事した韓国人の徴用工問題を蒸し返し、個人の請求権はなお消滅していないとの立場を示した。
 文大統領は就任100日の記者会見で徴用工問題に触れ、「両国間の合意は個人の権利を侵害できない」と表明した。韓国では最高裁(大法院)が2012年、徴用工の請求権は今も効力があると判断しており、これを「政府の立場」として追認するという。
 そもそも日韓両国が1965年の国交正常化の際に結んだ請求権協定は、請求権問題は「完全かつ最終的に解決された」と明記している。このため両政府ともこれまで、徴用工問題は解決済みとの認識を原則として共有していた。
 韓国は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下の2005年、日韓の請求権協定には徴用工問題も含まれ、賠償を含めた責任は韓国政府が持つべきだとの政府見解もまとめている。当時、大統領首席秘書官だった文氏もこれにかかわった。
 にもかかわらず、従来の政府の立場を覆し、国家間で締結した条約や協定を軽視するような今回の発言は決して看過できない。
 大統領が追認するとした韓国最高裁の判断にはかねて、内外から疑問の声が多い。世論の圧力が強い韓国では、司法判断も民意に左右されやすいとの指摘もある。
 最高裁の判断を受け、韓国の地裁や高裁ではすでに、元徴用工が新日鉄住金、三菱重工業などを相手に賠償などを求めた訴訟で日本企業が敗訴するケースが相次いでいる。文氏発言が、保守政権下で見送られた最高裁の判決の時期や内容に影響する恐れもある。
 仮に最高裁で日本企業への賠償命令が確定するようなら、在韓資産の差し押さえなどに発展しかねない。経済のみならず日韓の協力関係に深刻な打撃を与えるのは必至だ。文大統領にはもっと慎重な外交のかじ取りを願いたい。

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