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【京都新聞】 スペインでテロ  手近な「凶器」へ対策を

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 欧州でまたもテロが起きた。罪のない市民を無差別に狙った蛮行であり、断じて許されない。
 スペイン北東部バルセロナの世界的な観光地ランブラス通りで、17日夕方、ワゴン車が歩道に突っ込んだ。屋台やベンチをなぎ倒しながら歩道を約700メートル走り抜け、次々と歩行者をはねて少なくとも外国人観光客ら13人が死亡、約100人が負傷した。
 スペイン政府はテロと断定し、警察は4人を拘束したが、運転していた実行犯は逃走した。過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出し、イスラム過激思想に感化された者によるテロとの見方が強まっている。動機や背後関係など事件の全容を速やかに解明してもらいたい。
 地中海に面するバルセロナは、建築家ガウディの作品など世界遺産に登録された歴史的建造物が多く、とりわけ夏には世界中から観光客が訪れる。そんな旅行者らでにぎわう人気観光地の繁華街が一瞬のうちに修羅場と化した。
 卑劣さに憤りを禁じ得ない。スペイン王室は「スペインはテロに屈しない。今、全国民がバルセロナ市民だ」と声明を発表したが、世界中が同じ思いに違いない。
 看過できないのは、不特定多数の人が集まり、警備が手薄な「ソフトターゲット」を狙った点だ。欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長が「卑劣な攻撃は生活を楽しみ、家族や友人と過ごす人々を故意に狙った」と指摘したようにあまりにも非道に過ぎる。
 それも「凶器」は車だ。見境なく通行人をはねて殺傷するテロが、昨年以降、欧州ではフランスのニースやドイツの首都ベルリン、英ロンドンなどで相次いでいる。爆弾や銃器と違い専門知識や資金がなくても容易に調達でき、模倣犯を生みやすい。手近な凶器で市民を襲うテロを未然に防ぐ難しさが浮き彫りになったと言え、日本も決して油断できない。
 欧米で移民排斥を掲げる政治勢力が支持を集め、イスラム教徒に対する憎悪が強まっている。排他的な風潮は過激主義の土壌となる不信感を増幅させ、テロの口実になるだけだ。社会の分断と憎悪を拡散し、テロをあおる悪循環に陥ってはならない。これ以上、過激主義の温床を広げさせないように各国がそれぞれ努力してほしい。
 卑劣なテロは何としても防がなければならない。国際社会が情報を共有してテロ対策を強め、公共の場の警備を万全にして市民の安心感を取り戻してもらいたい。

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