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【日経新聞】 地熱発電の利用拡大へ工夫を

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 日本の数少ないエネルギー資源で、温暖化対策にも役立つ地熱の利用が進まない。環境省は国立・国定公園地下の開発規制を緩和したが、地熱探査の支援や環境影響評価(アセスメント)の迅速化など、もう一段の推進策が必要だ。
 日本の地熱資源量は世界第3位の2347万キロワットだが、発電能力はその2.2%分にとどまる。政府は2030年に6~7%に高めるとしているものの、この控えめな見通しすら達成が危ぶまれる。
 地熱は実際に掘削しないと資源量を確定しづらく、開発に10年前後かかる場合も多い。失敗のリスクを軽減するための工夫がいる。
 環境省は一昨年、開発が厳しく制限されているが有望地も多いとされる国立・国定公園の「第1種特別地域」の地下で、域外からの斜め掘りによる地熱開発を認めるよう規制を緩和した。
 しかし、こうした地域は開発が難しく送電網を確保しにくい山あいが多い。斜め掘りは掘削距離が長くなりコストもかかる。生態系への影響や温泉の枯渇への懸念も根強く、発電に至った例はない。
 有望地を絞り込みやすくするため、産官学が協力して地熱資源の公共データベースを整備してはどうか。温度センサーを搭載したヘリコプターやドローン(小型無人機)を使えば、公園地帯などを広く調査できる。
 温泉地の理解を得るには国が主導して地熱開発の候補地に近い温泉の湯量や温度、成分を継続的に監視することも必要だろう。
 環境アセスメントの期間短縮も課題だ。手続きに3~4年かかり事業見通しを立てにくいからだ。
 最近はアセスが義務付けられない出力7500キロワット未満の計画が多い。送電容量の不足が主な原因というが、アセス回避が目的とみられるケースもある。小規模な発電所でも複数できれば環境への影響が大きくなる心配が出てくる。
 国と自治体は審査を並行して進めたり手順を見直したりしてアセスを効率化し、環境に配慮した地熱開発を後押ししてほしい。

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