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【社会新報】 普天間問題 国の約束と法令無視こそ問われる

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 米軍普天間基地の一部が7月31日、返還された。その面積は同基地全体の0・8%にすぎないが、政府は返還式典を開いて「沖縄の負担軽減」をアピールした。昨年12月、北部訓練場の過半の返還式典を開き、負担軽減を装いながら、まだ完成していない高江の新ヘリパッドの供用開始を誇示したのと同じやり方だ。
 その普天間をめぐっては、稲田防衛相(当時)が6月、辺野古新基地建設以外にも返還条件が満たされなければ「返還がなされないことになる」と明言し、沖縄に衝撃が走った。ここで具体的に問題となったのは、13年に日米が合意した返還8条件のうちの1つの「代替施設では確保されない長い滑走路を用いた活動のための緊急時における民間施設の使用の改善」であり、沖縄県は直ちに、これは那覇空港のことだと推測されるが米軍の使用は認められないと警戒感を示した。県議会自民党は、「稲田防衛相は辺野古ができても普天間は返さないと述べている」とした仲村未央県議(社民党県連書記長)の6月の代表質問の訂正を要求し、あわてぶりをのぞかせた。
 県議会が紛糾するのは、政府と県との約束とは、さらに日米合意とは何なのかと思わざるを得ない事態が続いているからだ。そもそも日米合意によれば普天間返還は「22年度またはその後」と、極めて曖昧だ。そして、政府と前県知事が約束した普天間の「5年以内(19年2月まで)の運用停止」は、「翁長(現)知事に協力していただけていない」との安倍首相の一言で、あっさり棚上げされた。
 嘉手納基地の旧海軍駐機場使用継続問題は、沖縄の不安を増幅している。96年の日米合意に移転が盛り込まれ、日本側の費用負担で新駐機場が完成したのに、米側は09年の両国合意で「必要に応じて」使うことになっているとして使用を継続、これに対し稲田防衛相(同)は使用中止を要求せず事実上容認したのだ。
 米軍の求めの前には、約束はほごにされる。そればかりではない。法令解釈もねじ曲げられる。県が7月24日に起こした新たな辺野古訴訟は、政府が、漁業権の一部が放棄されても県による漁業権の変更免許がなければ漁業権は消滅しておらず、岩礁破砕許可の更新が必要だとする従来の解釈を投げ捨て、県による工事水域立ち入りを拒否してまで、埋め立て工事を続行していることを違法だとするものだ。安倍政権こそ法治主義の破壊者なのだ。 (社会新報2017年8月16日号・主張より)

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