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【日経新聞】 新たな金融危機を封じる手立ては十分か

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 仏大手金融機関BNPパリバが高リスク商品を組み込んだファンドの解約を突如停止した「パリバ・ショック」から、10年が経過した。またたく間に世界中に動揺が広がり、翌年の米リーマン・ブラザーズの破綻に至った記憶は、今なお生々しい。
 世界の金融監督当局は危機への対応として、銀行や証券会社への規制を強化した。中央銀行も思い切った金融緩和策をとった。これらの措置で、世界経済は成長軌道に戻ったが、債務の急増や不動産価格の高騰など、新たな危機につながりかねない現象も世界中で散見されるようになった。
 金融危機の再発を防ぐための体制が十分に整っているかどうか、世界の金融当局は改めて点検する必要がある。
 金融危機の重要な教訓の1つは、国際協調の大切さだ。この点で、金融監督当局の足並みがそろわなくなりつつある現状は、大いに懸念すべきだ。
 例えば、銀行経営の安定を目的にした「バーゼル3」と呼ばれる自己資本比率規制だ。比率の分母に当たるリスク資産の計算をめぐって米欧間の溝が広がり、交渉は昨年来難航している。
 米国が格付けなど客観基準をもとに融資のリスクを計算するよう求めているのに対し、欧州は米国案より緩やかな銀行独自モデルに基づく計算方法を主張している。
 米欧当局の足並みの乱れが続くようだと、銀行株などが投機売買の標的となり金融市場が動揺しかねない。双方の歩み寄りを強く求めたい。
 各国・地域も固有の懸念を抱えている。トランプ米大統領は金融規制の一部緩和を検討しているが、政権基盤が弱体化する中で効果的な規制の見直しができるかどうか疑問だ。欧州の中ではイタリアの不良債権比率が高止まりし、アジアでは中国の不透明な「影の銀行」への懸念が強い。
 この10年間で金融システムへの新たな脅威も浮上した。銀行へのサイバー攻撃など、国際的に議論を深め対応策を共有しておくべき分野は多い。
 大手銀行の経営が比較的安定している日本は、国際協調を主導できる立場にある。金融庁と日銀は連携を密にし、主要国の監督当局で構成する金融安定理事会(FSB)などの場で、欧米間の橋渡しや意見の取りまとめに積極的に動くべきだ。

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