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【社会新報】 米朝緊張関係 交渉を促すのか衝突をあおるのか

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 衝突の危機をはらんだ米朝間の応酬は、東アジアだけでなく世界を不安に陥れている。7月の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の大陸間弾道弾(ICBM)発射実験強行後、広島・長崎の原爆投下日にはさまれた8月8日、トランプ米大統領が「世界が見たことがない炎と怒りを受けることになる」と核攻撃を連想させる発言をすると、その直後に北朝鮮は基地の島・米領グアム周辺へのミサイル発射計画を公表。マティス米国防長官は北朝鮮の体制崩壊に言及して反応、大統領は11日、「軍事的な解決の準備は完全に整っている」と明言した。小野寺防衛相は10日の国会で、グアムへの攻撃を集団的自衛権を行使できる存立危機事態と認定する可能性に言及した。
 もっとも、緊張激化一辺倒でもない。同国防長官とティラーソン米国務長官は14日、連名で米紙に寄稿し、米国の目標は朝鮮半島の非核化であり、北朝鮮の体制転換や北朝鮮に対する侵攻ではないことを表明した。
 平和的解決を言うのなら、なぜ外交交渉に踏み出せないのか。北朝鮮が今年最初の弾道ミサイルを発射した後の3月、中国が提案した「米韓合同軍事演習とミサイル発射の相互中止」を米国は拒否した。さかのぼれば昨年7月、北朝鮮が6ヵ国協議の合意事項と南北非核化合意が再確認されれば核問題協議に応じる用意があると表明したのに対し、「戦略的忍耐」を掲げる米前政権はこれを黙殺した。6ヵ国協議の「行動対行動」の相互主義原則にのっとり、核・ミサイル計画と演習による威嚇との同時停止を議題として交渉を始め、朝鮮戦争休戦協定の米朝平和協定への転換と平和体制構築、朝鮮半島非核化を目指すという包括的な協議と解決の道しかあり得ないのは自明の理ではないか。
 それにしても安倍首相の態度はひどい。15日の日米首脳電話会談後、一連の発言を承知の上で、大統領の「コミットメントを高く評価」とし、「高度な警戒監視態勢とミサイル防衛態勢を取り、国民の安全を守るために最善を尽くす」と述べた。ミサイル防衛があるから安心せよ、万一の場合は「国民保護ポータルサイト」をよく見て自分で自分の身を守れとでもいうのか。同日、韓国の文大統領は「朝鮮半島で再び戦争が起きてはならない。わが政府は全てをかけて戦争だけは防ぐ」と演説した。この落差は何なのか。首相はなぜ8月15日に戦争はさせないと言えないのか。 (社会新報2017年8月23日号・主張より)

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