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【河北新報】 北ミサイル上空通過/冷静な分析と強力な圧力を

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 北朝鮮がきのう早朝、弾道ミサイル1発を発射。北海道襟裳岬の上空を通過し、襟裳岬の東約1180キロの太平洋上に落下した。
 北朝鮮のミサイルが日本上空を飛び越えたのは5回目という。人工衛星打ち上げと称し過去にはあった事前通告もなかった。この上もなく悪質で、許し難い暴挙である。
 ミサイル落下物は確認されず、船舶にも被害がなかったのは何よりだ。だが、発射されたのは新型中距離弾道ミサイル「火星12」とみられ、約2700キロという飛行距離は日本全土に届く計算で、在日米軍基地を含め日本ならばいつでも、どこでも奇襲が可能な能力を示したといえる。
 「これまでにない深刻かつ重大な脅威で、地域の平和と安全を著しく損なう」と、安倍晋三首相が危機感をあらわにしたのは理解できる。
 北朝鮮の核・ミサイル開発放棄に向けた国際社会による圧力強化のため、日本が米韓と連携し、国連安全保障理事会の緊急会合開催を求めたのは当然のことだ。中国による石油禁輸を含め、包囲網の強化策を議論してもらいたい。
 今回の事態を受け日本国内では「備え」を強化するための議論が高まるとみられる。
 備えは重要だ。同時に、なぜ、この時期に日本上空に向けミサイルを発射したのか、慎重に分析する必要がある。
 北朝鮮が核・ミサイル開発にこだわるのは、米本土を直撃する核弾頭搭載ミサイルを持つことで、米国による攻撃を抑止し、体制の維持につなげるのが究極の目的だ。
 今月上旬に4発の火星12を米領グアム沖海上に撃ち込む案を検討していると表明したのも、その一環といえ、米国に「敵視政策」や圧力路線の撤回を迫るためだ。
 だが、実行すれば米国の反撃を招くリスクが大きいため見送り、代わりに日本上空を狙い同盟国・日本をけん制し地域の緊張を高めることで、一歩も引かない姿勢を米国に示したのではないか。国内に対しても一定の成果は強調できた。そんな見方もある。
 発射の目的が米国に政策転換を迫るためだとしたら、過度の反応は避けたい。備えの強化を巡る議論は、情報・情勢の冷静な分析の上に立って行われる必要があろう。
 トランプ米大統領にも冷静さを失ってもらいたくない。今月上旬、北朝鮮が「炎と怒り」に直面するかもと露骨な脅しをかけた。通常戦力でも核戦力でも圧倒的な米国の指導者による好戦的言動は、相手に疑心暗鬼を生み暴発を招きかねない。心してほしい。
 留意すべきは、北朝鮮石炭の輸出全面禁止を含む新たな安保理制裁決議を受け、平壌で10万人規模の抗議集会があったことである。大量動員による内部結束の誇示は指導部の危機感の表れと言え、決議が大打撃となる証しだ。中ロは無論、国際社会は決議の履行に徹底して取り組みたい。

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