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【産経新聞】 防災の日 「今できること」の実行を

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 9月1日は「防災の日」である。
 地震、火山噴火、台風や豪雨による河川の氾濫や土砂崩れなど、東日本大震災以降の数年を振り返っただけでも、日本列島は度重なる自然災害に見舞われてきた。
 過去の災害に学び、国民一人一人が防災力の向上につとめたい。
 「今できること、やるべきことを先送りにしない」という強い意志を行政と住民が共有することが大切だ。一つの例として、94年前(大正12年)に起きた関東大震災の教訓と首都直下地震の火災対策を挙げよう。
 関東大震災は、マグニチュード(M)7・9の大地震と台風による強風が重なった複合災害である。プレート境界で発生する海溝型地震だが、震源が陸域に近いため直下型の要素を併せ持つ。死者は約10万5千人にのぼった。建物倒壊、津波、土砂災害の被害も甚大だが、強風で凶暴化した火災による焼死者が9万人を超える。
 都市の構造が大きく変化した現在も、火災対策の重要性は変わらない。首都直下地震の被害想定では、最悪のケースで死者2万3千人、火災による犠牲者は1万6千人にのぼる。
 一定の揺れを感知すると電気が止まる「感震ブレーカー」の普及を強力に推進すべきである。現在の普及率は1割未満と推定される感震ブレーカーが全戸に設置されれば、焼失家屋は半減し、そのうえに適切な初期消火が行われれば焼死者は20分の1に減らせると、試算されているのだ。
 木造住宅密集地の再開発や建て替えに比べれば、時間も費用もかけずに防災効果が期待できる。30年以内の発生確率が70%とされる首都直下地震の切迫度を考慮すれば、感震ブレーカーの普及は「着実に」進めるのではなく、「一気に」全戸設置(普及率100%)を実現すべきである。
 国と全国の自治体には、瞬発力のある施策を求めたい。住民の理解も不可欠だ。
 昨年4月の熊本地震では、庁舎が被災し、初動や住民対応に支障が出た自治体があった。耐震補強の必要性が分かっていながら、財政難などを理由に先送りにされていた。重く受け止めなければならない教訓である。
 防災を国、自治体任せにせず、家庭や職場、地域でも「今できること」を考え、実行したい。

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