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【朝日新聞】 防衛概算要求 「限界」見据えた議論を

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 日本にとって適正な防衛力とはどの程度なのか。臨時国会での冷静な議論を求めたい。
 防衛省が来年度予算案の概算要求を公表した。総額は過去最大の5兆2551億円。今年度当初予算に比べ2・5%増で、要求増は6年連続だ。
 北朝鮮はミサイル発射を繰り返し、中国の強引な海洋進出が続く。自衛隊の能力を不断に見直し、防衛力の整備を進める必要があるのは確かだ。
 ただ、自衛隊ができることには、法的にも能力的にも限界がある。未曽有の財政難のなか、国家予算から防衛費にあてられる額には限りがあるし、過度の軍拡競争はかえって地域の安定を乱しかねない。
 こうした条件のもとで、適正な防衛力の規模を、費用対効果を踏まえて論じ合うのは国会の重要な使命である。
 焦点のひとつは、陸上配備型の米国製迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入だ。金額は明示せず、年末までに確定する形をとった。
 弾道ミサイルの脅威に対応するため、自衛隊は、イージス艦が発射する迎撃ミサイル「SM3」と、地対空誘導弾「PAC3」の二段構えの体制をとっている。さらに「万全を期す意味で」(小野寺防衛相)導入するという。
 8月に開かれた日米の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で、日本側が導入を対米公約した。しかし国内、とりわけ国会の議論が全く不十分だ。
 ミサイル防衛には、相手に発射をためらわせる抑止効果や、国民に安心をもたらす効果もあるとされるが、導入にかかる費用は1基800億円と巨額だ。1基あたり100人程度の要員も必要で、維持コストは重い。
 一方で、北朝鮮がミサイルを同時に多数発射したり、複数の弾頭を搭載したりすれば、実際には迎撃は困難だ。
 いま直ちに北朝鮮の脅威に対応できるわけでもない。配備先の決定に必要な地元との調整や、住民への影響調査を考えると、運用が始まるまでに5年以上かかるとの見通しもある。
 概算要求では尖閣など離島防衛の強化に向け、新型の高速滑空弾の研究費100億円、長射程の新対艦誘導弾の研究費に77億円を要求したが、あれもこれもでは際限がない。他の装備に比べ、ミサイル防衛をどこまで優先するかも重要な論点だ。
 様々な制約を抱えるなか、日本の安全をどう守り、地域の緊張緩和につなげるか。軍事だけでなく、外交努力とあわせた骨太な議論が欠かせない。

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