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【読売新聞】 防災の日 予知できぬ大地震に備えよう

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 巨大災害への備えを改めて点検したい。
 きょうは「防災の日」だ。各地で災害を想定した訓練が実施される。政府は、首都直下地震に備えた訓練を首相官邸で行う。
 大阪府は5日に、府民880万人に津波警報を発する大がかりな訓練を予定している。
 被害を減らすために、どう行動するか。各自が避難経路などの基本事項を確認した上で、想定外の事態にも柔軟に対応したい。
 政府の地震防災は、想定外を直視した姿勢に転じつつある。南海トラフ巨大地震の防災体制は、その最たるものだろう。
 南海トラフ(海底の溝)は、静岡から九州沖まで延びる。これに沿って起きる地震の対策を検討してきた中央防災会議の作業部会が、予知は不可能だとする報告書案をまとめた。「突発的な発生」を前提にするよう求めている。
 南海トラフの最東部では、東海地震の予知を前提に、政府、自治体の防災体制が構築されている。報告書案は「現行の対策は改める必要がある」と、これも全面的に否定した。予知ができない以上、見直しは当然だろう。
 東海地震では、地盤変位などの異変が検知されると、気象庁が専門家による判定会を招集する。地震発生が確実だと判断されれば、首相が警戒宣言を発する。
 関係地域では、新幹線の運行や商業施設の営業が中止されるなど市民生活に広く規制が及ぶ。
 1978年に制定された大規模地震対策特別措置法に基づく体制だ。確実に大地震の前兆を捉えられるのか、という根源的な問題が長年、指摘されてきた。
 法改正はもとより、体制全体を再構築すべきだ。
 南海トラフで、今後30年以内に大地震が発生する確率は60~70%に上る。全域が一斉に揺れると、各地に大津波が押し寄せる。政府は、死者・行方不明者は最大32万人を超えると試算する。
 南海トラフ地震に様々な形態があることが、対策をより難しくしている。過去には、東海、東南海、南海の大地震が、数日から年単位の間隔を置いて起きた。
 時間差があると、揺れていない隣接地域で「次は自分の地域か」という社会不安が広がろう。
 報告書案は、時間的間隔がある発生を想定して、隣接地域の住民に3日間程度の事前避難を促すといった減災策を示している。
 政府は今後、モデル地域を選定して、課題を洗い出す。予知よりも現実的な対策が求められる。

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