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【京都新聞】 メイ英首相訪日  円滑な離脱の具体化を

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 英国のメイ首相が就任後、初めて来日した。安倍晋三首相と会談し、経済分野や安全保障面での協力強化で合意した。
 両首脳は、核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対し圧力を強化する方針で一致し、中国の海洋進出を念頭に「法の支配」に基づく国際秩序の維持の重要性も確認した。
 メイ氏は日本の国家安全保障会議(NSC)特別会合に招かれた。小野寺五典防衛相と海上自衛隊ヘリコプター搭載型護衛艦も視察し、隊員から栄誉礼を受けた。
 日本政府としては、安全保障面で日英の親密さを内外にアピールする絶好の機会となった。英国は近年、中国との関係を強化しているが、北朝鮮への圧力強化で中国の役割の重要性を確認したことも日本政府としては成果だろう。
 一方、英国の第1の目的は経済連携強化の確認だった。
 英国には現在、千社を超える日本企業が進出している。そのうち約40%が製造業だ。英国は日本企業にとってEU諸国への輸出拠点となっている。
 EU離脱で対EU貿易に関税がかかれば、日本企業にとって英国進出のメリットは縮小する。日本企業の中には早くも欧州大陸へ拠点を移す動きもあるという。
 日本企業は英国で14万人の雇用を生み出している。日本企業の投資はなんとしてもつなぎ留めたいところだ。
 英国内でも日本企業の動向は注目されている。英国の新聞は「メイ氏訪日の最大の目的は、EU離脱についての日本の危機感を和らげることだ」と報じた。
 メイ氏は今回、大手生命保険会社の経営者やウイスキー業界の代表ら経済人15人を伴った。EU離脱後も日英の直接的な経済連携を強化するという意思表示だろう。
 実際には、英・EUの離脱交渉は難航している。移民制限だけを強めたい英国に対し、EUは、移民の制限はモノやサービスの制限も伴うとして対立している。
 2019年3月の離脱までに合意に至るかは予断を許さない。
 英側は「円滑な離脱」を強調したが、具体的な裏付けは示さなかった。
 メイ氏は京都迎賓館にも滞在し、表千家のお茶会にも招かれた。滞日日程は全体としてセレモニーの色合いが濃く、日英共同の行動や政策の合意は予定されていなかった。
 両首脳にとっては、互いに重要な事柄を強調する機会にはなった。思惑は一致したといえよう。

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