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【陸奥新報】 陸奥新報創刊71周年「混とんの時代に正確な報道を」

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 21世紀の“空襲警報”は心を不安で満たすものだった。29日早朝、北朝鮮が発射した弾道ミサイルの日本通過を告げるJアラート(全国瞬時警報システム)で、たたき起こされ、いくつかの取材の手配を終えた後、ふと眺めた弘前の街並みもまた、どうしていいのか不安で立ちすくんでいるように見えた。「頑丈な建物や地下に避難して下さい」。Jアラートは告げているが、地方にそうそう、当てはまる施設があるわけがない。ミサイルは本当に発射されたのか、発射されたとしたら、どこに落下したのか、被害はあったのか、正確な情報がないまま時間が過ぎる中、同僚から「本県への被害はありませんでした」と一報が入った。心がやっと動き出したような気がした。「正確な情報を知る」。そのことの大切さとありがたさが身に染みた。
 陸奥新報は9月1日、71年目の創刊記念日を迎えた。敗戦直後の混乱期、インターネットもテレビもなく、インフラ整備も現代と比較にならない地方の弘前において、産声を上げた本紙がもたらした「情報」は、地域の人たちからどのように受け止められたのだろうか。「読者が知りたい、役に立つ情報を早く正確に伝える」。これは創刊当初から変わらぬ、陸奥新報の姿勢であり、至らぬところが多いながらも、この伝統を引き継いでいこうとする私たちの姿勢は、今後も変わることがない。こうした考えが、読者の信頼を得て、70年余りもこの地で新聞を発行することができたのだと信じ、この歩みを止めることなく前に進みたいと思う。
 終戦直後の混乱期に産声を上げた陸奥新報であるが、現代の日本もまた、混乱と不安の中にある。北朝鮮をはじめとする近隣諸国とは陰に日なたに摩擦が生じ、国の安全保障をめぐる環境は大きく変化した。国内に目を向けても国民の政治不信を助長させるような問題が数多く生じており、その根は深い。
 地方が抱える事情は、さらに深刻だ。人口減少が目に見える形で進行し、地域から活力が奪われている。「人もモノも金も、中央へ」と進められた近代日本の中央集権政策のツケを支払わされる中、地方は自立への道を模索しなければならない。
 この時代を乗り切るために何が必要なのだろうか。「正確な情報を知る」ことが重要な意味を持つのではないか。何かを判断し、行動するために必要な材料や基準、それを形作るために役立つ「正しく、有意義な情報」。陸奥新報は地域づくりに、地域住民の生活に、ためになる情報、伝えなければならない情報を発信する存在であり続けたい。21世紀にあっても変わることなく、地域に根を張り真実を伝える。「フェイクニュース」ではない、本当の津軽の姿を報じ続け、地域に貢献したい。

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