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【西日本新聞】 麻生氏失言 副総理の自覚を問いたい

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 撤回すれば済む話ではない。ヒトラーを評価しているとも受け取られかねない麻生太郎副総理兼財務相の発言である。
 問題の発言は3日前に横浜市で開いた自身が率いる自民党麻生派研修会の講演で飛び出した。
 「(政治家を目指した)動機は問わない。結果を出してもらわないといけない。何百万人も殺しちゃったヒトラーはいくら動機が正しくても駄目なんだ」
 ファシズム政党のナチスを組織して第2次世界大戦を引き起こし、数百万人といわれるユダヤ人の大量虐殺に及んだ独裁者のヒトラーに、果たして「正しい動機」などあったのだろうか。
 欧米では戦後72年たった今もヒトラーやナチスは厳しい批判の対象だ。一方、米国で起きた白人至上主義団体と反対派の衝突で、反対派に車で突入した容疑者はヒトラー崇拝者だったとされるなど「ナチスの亡霊」に苦しんでいる。
 こうしたことを首相や外相など要職を歴任し留学経験もある麻生氏が知らないはずはない。なぜ、こんな発言をしてしまうのか。
 麻生氏はその翌日、「あしき政治家の例として挙げた。真意と異なり、誤解を招いたことは遺憾だ」とするコメントを発表し、前日の発言を撤回した。
 麻生氏は2013年にも、憲法改正に絡み「ある日気付いたら、(民主的とされた)ワイマール憲法がナチス憲法に変わっていた。あの手口を学んだらどうかね」と発言して、国内外から批判を浴びて撤回したことがある。
 失言を繰り返す麻生氏は、どんな乱暴な発言も撤回すれば済むと勘違いしてはいないか。
 政治家がいったん口にした言葉は人の心から消えない。撤回しても波紋を広げる。その重みや痛みを衆院当選12回の麻生氏はまだ分からないのだろうか。
 閣僚から若手議員まで問題発言が後を絶たない。範を示す立場の副総理まで失言とはあきれてしまう。こうした言動が国民の政治不信を深めている。全ての政治家はその職責を改めて自覚すべきだ。

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