Home > 社説 > ブロック紙 > 西日本新聞 > 【西日本新聞】 南海トラフ地震 予知困難な危機に備えを
E060-NISHINIHON

【西日本新聞】 南海トラフ地震 予知困難な危機に備えを

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 「来るべき危機」への備えを一層加速させねばならない。
 南海トラフ巨大地震の予測可能性に関し、政府・中央防災会議の有識者会議が「現在の科学的知見では確度の高い予測は困難」とする見解をまとめた。
 2013年に下部組織の調査部会が出した結論を踏襲した。4年たった最新 の知見でも「直前の予知」はできないとする内容だ。
 「直前」とは避難につながる数時間から数日前を意味する。南海トラフの一部を震源とする東海地震を巡っては、予知を前提に1978年、大規模地震対策特別措置法(大震法)が施行された。
 現段階では予知への過剰な期待が国民を危険にさらすことは改めて言うまでもない。政府は直ちに大震法の見直しに入るべきだ。
 南海トラフ巨大地震は684年の白鳳地震から13回の記録が残っている。直近は1946年の昭和南海地震だ。南海トラフで予想される大地震の平均発生間隔は88・2年で30年以内の発生確率は70%程度と極めて高い。最大マグニチュード9・1が予測され、最悪の場合、死者は32万人に上る。
 津波の高さは九州で特に被害が大きいとされる大分県佐伯市で15メートル、宮崎県串間市で17メートルに達する可能性がある。地震発生から津波到達までの時間は大分県の場合、最短で26分とされる。同県は遅くとも15分以内の避難を目指して、高台の整備などを急いでいる。
 避難計画や訓練の充実、防災教育も不可欠だ。南海トラフを震源とする1707年の宝永地震では現在の大分県南部で高台に逃げた人々が助かったという記録が残る。地域の地形や特性に応じたきめ細かな対策を組み立てたい。
 南海トラフ巨大地震は海溝型の地震だ。海洋プレートが潜り込む速さなどから、昨年の熊本地震など内陸直下型に比べ、周期は比較的計算しやすいとされる。それでも予知はできないのが現状だ。
 きょうは関東大震災にちなむ「防災の日」である。地震はいつ、どこでも起き得ることを前提に防災・減災対策を充実させたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。