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【読売新聞】 東芝再建策 経営陣の迷走ぶりが目に余る

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 日本を代表する上場企業とは思えない経営の迷走ぶりである。株主や取引先に悪影響を及ぼす異常事態を一刻も早く収拾する必要がある。
 東芝が、記憶媒体(メモリー)子会社「東芝メモリ」売却について、協業する米ウエスタン・デジタル(WD)を含む企業連合など3陣営との交渉継続を決めた。
 綱川智社長は8月中に、売却先をWDや官民ファンドの産業革新機構などによる陣営に決めたい考えだった。しかし、WDの経営への関与度合いなどを巡り、折り合いがつかなかった。
 土壇場で他陣営から新たな買収案が提示されたことも社内の意見対立を煽(あお)り、綱川氏は決定の先送りを余儀なくされた。
 東芝は、稼ぎ頭の子会社を2兆円程度で売ることで、来年3月末までに財務体質の改善を果たし、上場廃止を回避する方針だ。
 売却を巡る各国の独占禁止当局の審査には半年以上かかる。売却交渉に許される時間は、ほとんど尽きようとしている。
 半導体と縁遠い部門の出身で、「調整型」と評される綱川氏の決断力不足は否定できまい。
 今年1月の売却方針の表明以来、交渉は視界不良が続いた。
 主因は、国際仲裁裁判所に東芝の子会社売却差し止めを求めたWDに対し、対抗措置を取って溝を深め、時間を浪費したことだ。
 どの陣営に売却するにしても、WDが最大の障壁であることは変わりない。交渉の前進には、両社の対立解消が急務である。
 上場維持の是非を巡る東京証券取引所の審査も予断を許さない。不適切会計の発覚後、東芝の企業体質が改善したかどうかがカギを握る。今秋以降、結論が出る見込みだが、ハードルは高い。
 東芝は、2017年3月期連結決算に伴う有価証券報告書を期限から1か月半遅れで提出した。
 監査法人は、決算全般について概(おおむ)ね妥当だと意見表明した。一方、原子力事業を巡る巨額損失の処理などで内部統制に問題がある、とも指摘している。
 上場廃止となれば、約36万人に上る株主への影響は計り知れない。株価の下落ばかりか、市場での株の売買すらできなくなる。
 東芝の足踏みを横目に、ライバルの韓国サムスン電子は半導体生産の大型投資を決めた。東芝は優秀な人材の流出も続いており、企業価値の低下を招いている。
 東芝経営陣は、再建の全体像を明確に示すことで、市場の信頼回復に全力を注がねばならない。

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