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【高知新聞】 【前原民進党】危機感を共有できるか

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 民進党が新たな党代表に前原誠司元外相を選出した。
 7月の東京都議選惨敗で引責辞任を表明した蓮舫氏の後任を選ぶ代表選で、前原氏は枝野幸男元官房長官との一騎打ちを制した。旧民主党代表も務めた前原氏は再登板になる。
 国民の失望を拭えないまま、党勢低迷を続けてきた民進党は瀬戸際に立つ。有力議員らの離党も相次ぎ、解党の懸念さえ漂う危機的状況下で、前原氏がどういうリーダーシップを発揮するのか。党の命運を懸けた船出になる。
 前原民進党が取り組むべき課題はもはや言わずもがなだ。自民党政権に立ち向かう政治理念や政策の対抗軸の明確化であり、そのための挙党態勢の構築である。
 党内保守派の代表格とされる前原氏と、リベラル派が推した枝野氏が対決した今回の代表選は、そのまま党内の「保守対リベラル」という変わらない構図になった。
 憲法9条の見直し論者である前原氏に対し、枝野氏は9条堅持を主張。電力系労組の支援を受けた前原氏は「2030年代原発ゼロ」の現行目標を支持し、枝野氏は前倒しを求めた。
 安倍政権の「アベノミクス」に対し、両氏とも国民生活の安定へ社会保障の充実などを訴えた。だが、財源を巡っては前原氏が消費税10%引き上げの必要性を明言し、枝野氏は現状ではできないとした。
 国政選挙での野党共闘に関しても前原氏は共産党との協力を見直す考えで、枝野氏は推進派だ。最大支持組織の連合との関係も絡み、方針決定を難しくさせている。
 安倍政権に対抗し、野党第1党の存在感を発揮すべき基本政策で意見が割れ、党勢拡大や政権奪還を期すべき選挙戦略でも一枚岩になれない。同じ轍(てつ)を踏まないことが、党再生への答えである。
 前原氏自身も憲法観や安全保障政策で自民党と近い部分がある。安倍政権との違いをまずは自ら鮮明にしなければならない。
 蓮舫氏には党内の多くの期待が託されたはずだった。にもかかわらず党内はまとまらず、「懲りない党」のレッテルをさらに重ねた。
 前原氏の新執行部人事が党内統率へのまずは鍵になる。蓮舫氏は所属グループのトップだった野田佳彦前首相を幹事長に起用し、たちまち党内に不協和音を招き、つまずいた。教訓とすべきだろう。
 離党した細野豪志元環境相や、小池百合子東京都知事の側近らの新党結成の動きが強まる。野党再編を持論とする前原氏はどう関わっていくのか。その判断を迫られる場面も予想される。かじ取りを誤れば、前原氏は求心力を失う。
 加計(かけ)、森友学園問題などで「安倍1強」の土台が揺らぐ。秋の臨時国会、10月に迫る衆院3補選が早速、前原民進党の先行きを占う試練の場になる。党勢再浮揚の糸口を見いだす、最後のチャンスとの危機感を党内で共有し臨まなければならない。

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