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【八重山毎日新聞】 三枚肉の精進料理にみる日中交流

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ー世代断絶すすむ法事の危機ー
 ■ソーロンの料理
 明日からソーロン(精霊会)である。迎え火を焚き、先祖の霊を迎え、3日間供膳でもてなす。仏壇にはサトウキビ、ハスやタイをかたどった華やかな色彩のクーグヮーシィ(糕菓子)や果物、精進料理が供えられる。精進料理は普通、肉を使わないが、八重山(沖縄)では豚の三枚肉や煮物も供えられる。
 これは、中国の三牲(さんせい)にならったものだ。三牲は牛、豚、ヤギなどのいけにえ供物だ。沖縄には中国系の久米村に伝えられ、首里王府は、国王を弔う諭祭や清明祭などの料理に御三味(うさんみ)として取り入れた。
 久米村の人家訓としてそんな料理も記した『四本堂嘉礼』が役人の間に広まり、八重山の士族もそれにならい仏事にも肉類が用いられるようになっていった。
 しかし、これは上級役人の家庭に留まり、一般的に定着するのは近世末期で、ウチィン・ガビ(紙銭)を焼く習慣もこのころからといわれる。八重山の精進料理は日中文化の影響が生んだものといえる。
 果物といえば、かつては、バンシュル(バンジロウ)、バナナ、黒木の実、九年母フーズン(なしかずら)アダンの実など野山の自然なものであった。現在では見向きもされない。
 施餓鬼の供物として野菜を刻んだミジィヌクー(水之子)がある。箸はマヤーブー(メドハギ)で作る。しかし、メドハギも開発や農薬で減少し見えない。お盆前になると祖父たちが作ったミングドゥーリィ(走馬燈)も仏壇から消えた。
 ■法事の未来
 先祖の霊を送る3日目、グショー(冥土)へのお土産にサトウキビのつえと菓子や餅、果物などが門の隅に置かれる。食糧難の時代にはそれを取って食べる習慣もあったが、飽食の現代、土産は猫やカラスにくい荒され道路に散乱し、近所迷惑、衛生面からも問題視される。見直すべきだ。
 戦後生まれが全人口の8割を占め、戦前生まれとの意識や習慣に対する認識の違いは大きい。立つ基盤が大きく変わり文化継承も危機だ。
 ロボットが読経し、位牌(いはい)を継がない、墓もいらない、ましてや精進料理な必要ないという時代だ。やがて、お盆も簡略化、合理化され、先祖の霊を敬う精神文化も変化していくのだろか。
 ■社会風刺なきアンガマ
 お盆といえばアンガマだ。仮面をつけたウシュマイ(爺)ンミ(姥)の甲高い裏声や花笠で着飾ったファアマー(子孫)の繰り出す踊は熱気にあふれている。
 アンガマの語源はアネコ(姉子)など諸説があるが、いつごろアンガマが誕生したのかは不明だ。
 爺、姥が念仏節を踊り、人倫、孝道など儒教の精神を説く。見物人は爺や姥に、現世の悩みやあの世の沙汰、突拍子な質問もする。爺、姥は面白おかしく当意即妙に応える。爺、姥の真骨頂だ。
 しかし、近年、問答マニュアルを作成し、それに沿って演じ、一般観客の質問を無視するという声も聞こえる。残念なことだ。
 復帰運動全盛期や新石垣空港建設問題で騒いでいるころ、その問題も問答に取り上げられた。現在では、時事や社会問答などあまり聞かない。権力や不正を滑稽に風刺するのもアンガマの役目だ。
 戦後72年、石垣市に自衛隊配備が計画され、沖縄防衛局は8月30日、平得大俣の建設予定地における土地買収のため来年度の概算要求を計上すると中山市長に伝えた。中山市長は理解を示したという。あの世の戦争犠牲者たちの声を爺や姥に聞いてみたいものだ。 タグ: 旧盆

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