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【陸奥新報】 インバウンド対策「市民が情報共有する仕組みを」

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 昨年の北海道新幹線開業、青森空港への国際定期・チャーター便就航や青森港への大型クルーズ船寄港などにより、本県を訪れる外国人観光客が増加している。一方で観光施設を除けば、訪日外国人観光客(インバウンド)に十分対応できる状況にあるとは言い難い。インバウンドがもたらす経済効果を逃さぬ環境づくりが急務だ。
 藩政時代の面影を残す「こみせ通り」、紅葉の名所として知られる「中野もみじ山」を有する黒石市。これらは観光に力を入れる弘前市と比較しても、引けを取らない“日本らしさ”を感じさせる資源である。黒石市内に宿泊する外国人観光客数は、集計を始めた2016年2月から12月までの11カ月で1530人。今年は1~7月の7カ月で1157人。中野もみじ山が色づく観光最盛期を控えていることを考えると、16年実績を上回るのはほぼ確実だろう。
 市はこうした状況を踏まえ、昨年度から観光施設や宿泊施設、飲食店などを対象にしたインバウンド観光勉強会を行っている。各事業者が抱く一番の不安は言葉の壁であり、コミュニケーションに対する苦手意識の解消などを目的に、今年度は4回開く。8月29日の第1回勉強会には約30人が参加。5班に分かれ、10月末に予定する留学生対象のモニターツアーのコースについて意見を出し合った。
 班ごとの話し合いは、モニターツアーの実施などインバウンドに取り組む黒石商業高校生がサポート。何もないところからプランを練り上げるのは、容易ではないだろうが、こうした経験の積み重ねが、外国人観光客に喜ばれる観光地づくりにつながる。当初「外国人観光客が来店したとき、コミュニケーションが取りづらく苦手意識があった」という参加者から「意識が変わってきた」という声が聞かれた。参加者がインバウンドを自身の課題として、向き合うようになったのは勉強会の成果の一つだろう。
 ただ、参加者は地元をよく知る事業者。市民が考える魅力と、外国人観光客が欲するものが同一とは限らない。モニターツアーだけでなく、常日ごろからさまざまな形で情報収集に努めることが重要だ。市は各事業者がインバウンドの重要性を認識する半面、早急な受け入れ環境整備の必要性に危機感を抱いていることから、来年度以降も勉強会を継続する方針であり、回を重ねるごとに事業者の意識改革が進むと期待される。
 東京五輪を控え、ますます訪日客が増加すると見込まれる。現在の勉強会に参加していない店舗などに外国人観光客が訪れたり、街で道案内したりすることもあるはずだ。勉強会参加者以外も応対できるよう、市の広報紙を活用するなど情報共有できる仕組みづくりを進め、市民みんなが外国人観光客の受け入れに携わっているという意識を高めたい。

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