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【茨城新聞】 日英首脳会談 戦略的関係の再構築を

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安倍晋三首相とメイ首相による日英首脳会談は、経済や歴史的なつながりを軸とする従来の2国間関係を、安全保障の新たな絆でさらに強める方針を鮮明に打ち出した。
北朝鮮の核開発やミサイル発射、国際テロなど差し迫った脅威に対処するため、戦略的な協調関係を本格的に再構築する必要がある。
会談後に公表された「日英共同ビジョン声明」は、両国は「自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値観を共有」し、アジア、欧州で互いに「最も緊密な安全保障上のパートナー」と規定した。
声明はその上で、北朝鮮による「過去に例を見ない脅威」や、尖閣諸島や南シナ海で領土拡張の動きを継続する中国を念頭に「力や強制」による「一方的行動」に共同で対処するとしている。
安倍首相は記者会見で、日英を「海洋の安定化勢力」と呼んだ。安全保障に関する共同宣言では「インド太平洋地域」で共通課題に取り組むとした。
大西洋の安定を米国と英国が主に担い、太平洋の平穏を米国と日本が守る従来の考え方に加え、インド洋から太平洋にかけては、日英が安全保障に積極的に関与する構図を描くものだ。
共同宣言は特に「今後あり得べき英国の空母の展開」にまで踏み込んだ。最新鋭空母クイーン・エリザベスが数年後に就役する見通しを踏まえ、中国の海洋進出をけん制したとみられる。
また外務・防衛担当閣僚による2プラス2会合の毎年開催や、英国での共同演習検討も明記した。日米に比べ歴史の浅い日英の防衛協力を、着実に育てることが大切だ。
両首脳が戦略的関係の根拠を、あえて「共通の価値観」に置いた背景には、中国、北朝鮮、ロシアなど、必ずしも民主主義に重きを置かない国家が連携を強めつつ、軍事力を通じ対外的な影響力を増している現状があろう。
だが日米英と北大西洋条約機構(NATO)が、「価値観」と「力」で結束を強めれば、中ロとの溝がさらに深まる懸念がある。その意味で日英首脳会談が「中国のさらなる役割」に期待を表明したのは賢明だった。北朝鮮を抑制するためには、中国に頼らざるを得ないのも国際情勢の現実である。
アジアの安全保障に中国が建設的に関与する環境をつくり出すためにも、中国とは是々非々の粘り強い対話と交渉が求められる。中国を地域の安定を守る大きな潮流に組み込む観点からも、日英の安全保障協力の意味が問われるだろう。
日英関係に全く不安がないわけではない。従来の重層的で緊密な経済関係が、英国の欧州連合(EU)離脱で不透明感を増している。
英国には千社以上の日本企業が進出、14万人の雇用を生み出しているという。英国にとって日本はEU域外の第2の投資国であり、日本の経済にとって英国は欧州の重要拠点だ。
安倍首相がメイ氏に「日系企業を含む企業活動への影響を最小化するよう、透明性と予見可能性の確保」を求めたのは当然である。
安全保障協力が時代の要請とはいえ、経済関係が日英関係の伝統的基盤である事実に変わりはない。日英新時代の構築は、試練と希望の事業となろう。

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