Home > 社説 > ブロック紙 > 中日新聞 > 【中日新聞】 不法投棄 “産廃Gメン”必要では
E045-CHUNICHI

【中日新聞】 不法投棄 “産廃Gメン”必要では

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 大雨災害一転、産廃不法投棄事件の様相だ。岐阜県瑞浪市の中央自動車道を襲った“土砂崩れ”。たかがごみ、されど扱いを誤ると、予期せぬ惨事や健康不安を引き起こす。不法投棄はなぜ絶えない。
 中央自動車道の車を巻き込み、住宅街へ押し寄せた白い“泥の河”。市内の窯業原料メーカー「丸釜釜戸陶料」が、現場脇の斜面の敷地内に野積みしていた規格外商品。土砂崩れと思いきや、売り物にはならない廃棄物だったのだ。
 ひと言で言えば汚泥だが、その中に「結晶シリカ」という、乾くと粉になる有害物質が含まれる。
 焼き物の釉薬(ゆうやく)などに使われる珪石(けいせき)を砕いたもので、飛散した微粒子を長期間吸い続けると、呼吸機能が衰える珪肺(けいはい)という病気の原因になる。陶磁器やガラスの工場で働く人に多く見られる職業病だ。発がん性の指摘もある。
 同社は産廃処理の許可を受けないままで、採石場跡のくぼみに、四十年にわたって“規格外商品”を積み上げてきたという。不法投棄事件として県警が捜査中だ。
 産廃は成長の時代の影だった。前世紀末、瀬戸内や北東北で巨大不法投棄事件が相次いで明るみに出たのも偶然ではないだろう。
 そのころ、今回の現場に近い岐阜県東濃地方でも不法投棄や野焼きが横行、中日新聞は適正処理を訴える長期キャンペーンを展開し、それなりの成果を上げた。なのに、不法投棄は後を絶たない−。
 不法投棄の動機の第一は、今も昔も変わらない。処理や管理に費用をかけたくないからだ。
 結晶シリカは、汚泥、または陶器くずとして処理できる。石綿(アスベスト)のように、特別厳重な管理が必要とはされていない。
 ゆえにか「不法投棄という認識が薄かったのでは」(大手製陶会社元役員)という指摘もある。
 しかし、職場の安全という観点からは、砕石作業時には防じんマスクを装着し、作業場に集じんフィルターを設置するなど、珪肺対策を講じるのは常識だ。
 “土砂崩れ”といい、発がん性を疑われる物質の飛散といい、今回の事件は、不法投棄の危なさをあらためて見せつけた。「想定外」で片付けるべきではない。
 危険が指摘されている廃棄物管理のあり方は見直すべきだ。そして、労働基準監督署が司法警察権(労働Gメン)を持つように、産廃処理を監督する都道府県の部局にも、ある種の強制捜査権限を与えるべきではないだろうか。  

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。