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【産経新聞】 中国企業と党介入 歪んだ市場経済の限界だ

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 世界が求める市場経済化など全く意に介さないということか。
 中国共産党が国内大手企業に対し、経営に影響力を行使できる党組織を社内に作るよう求めた。習近平指導部による企業への露骨な介入だ。
 対象は国有企業のみならず、地方政府が出資する企業や民間企業にも及ぶという。党の判断を優先する経営を徹底させるためである。
 市場経済化の流れに逆行するばかりか、不透明で恣意(しい)的な中国の経済運営を一段と強めるものである。日本などの外資系企業にとっては、中国事業の政治リスクが一段と高まることを意味し、強い懸念を抱かざるを得ない。
 習指導部は、強権による企業支配が中国経済をさらに歪(ゆが)めることを厳しく認識すべきである。
 現地のネットメディアによると、党組織の設置は、株主総会などを経て定款に明示するよう3千社以上に求めた。既に数百社がこれに応じているという。
 もとより、一党独裁体制の中国では経済運営も党が主導する。大手企業が党による企業統治を定款に明文化することで、その傾向に拍車がかかることになろう。
 中国の大手企業の多くは香港や上海などの証券市場に上場しており、海外株主もいる。経営の透明性や適切な情報開示が求められるのに、外部から見えない政治判断で経営が左右されるようでは、市場の混乱を招きかねない。
 外資系企業の中国事業では、合弁相手として中国の大手企業と組まされる例も多い。工場建設や役員人事などの重要な経営判断について党の意向を仰ぐ動きが広がれば、外資のビジネスは今以上の制約を受けることになる。
 露骨な介入の背景には、10月の党大会を控えて権力基盤を強めたい思惑もあろう。江沢民政権時代の既得権益層が今も力を持つとされる石油や電力などの業界が、習指導部に忠誠を示すかどうかの判断材料とするためである。
 だが、中国が本来なすべきなのは、内外企業が市場動向を踏まえた適切な経営判断を行えるよう環境を整える改革であるはずだ。
 外資への技術移転強要や鉄鋼製品の過剰供給能力など、日米欧が問題視するものの根本には、市場経済を無視した党主導型経済の弊害がある。それを改善するどころか強めるのでは、世界2位の経済大国の名には値しまい。

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