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【読売新聞】 ジビエ料理 捕獲動物の有効活用を図ろう

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 農作物などを食い荒らす有害動物を、食肉として利用する取り組みが広がりつつある。
 山里の人々にとっての厄介者を、地域おこしなどに有効活用したい。
 狩猟で獲たイノシシやシカなど野生動物の肉は、フランス語で「ジビエ」と呼ばれる。脂身が少なく、適切に処理した肉には独特の旨(うま)みがある。カレーやハンバーグで用いるのが一般的だ。
 山間部の限られた地域でしか食されてこなかった鍋料理などを、新しい名物として売り出す自治体や農協、飲食店もある。
 調理法を工夫すれば、メニューの幅はもっと広がるだろう。
 野生動物による農作物の年間被害額は、200億円前後に上る。イノシシとシカが原因の被害が6割ほどを占め、それらの駆除数も増えている。2014年度には計75万頭に達した。農林水産省は年約100億円を投入している。
 駆除した動物の多くは、埋めたり焼却したりして処分する。食肉用として使われるのは、1割程度にとどまるという。奪った命を無駄にしないという観点からも、食肉への活用を進めたい。
 捕獲した動物は、最寄りの処理施設に運び込まれ、解体や保管処理される。全国には、市町村や業者が運営する約500の処理場がある。ほとんどが小規模のため、レストランなどからの注文に十分に応えられないのが現状だ。
 部位別の肉の切り分け方にも、施設ごとにばらつきがあるなど、事業として成り立たせるには、まだまだ課題が多い。
 農水省は来年度、モデルとなる処理施設を全国12地区に整備する方針だ。高度に衛生管理された施設で、熟練の作業者が解体やカット、包装を行う。年1000~1500頭を処理し、流通させれば、黒字化のめどが立つという。
 これまで捨てていた部位を正確に切り分けるなど、無駄を減らすことで収益増につなげたい。
 野生動物は、病気や寄生虫を持っている恐れがある。問題のある肉は確実に廃棄し、安全性を確保することが何より大切だ。
 流通量を増やすために、忘れてはならないのが狩猟者の確保である。狩猟免許の保持者は現在、約20万人で、1975年の半分以下にまで減った。高齢化も進む。
 山中を歩き、獲物を運ぶのは重労働だ。若いハンターの養成が欠かせない。講習会の開催や、免許取得費用の補助に乗り出す自治体もある。農作物を守る狩猟の役割について、理解を広めたい。

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