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【山陽新聞】 都心の大学規制 地方大の魅力向上も図れ

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 文部科学省は、東京23区内にある私立大や私立短大の定員増加を認めない方針を決めた。人口の東京一極集中に歯止めがかからない現状を踏まえ、都市圏への若者の集中を抑える狙いである。
 東京都内の大学には、全国の大学生の4分の1に当たる人が通う。周辺の3県を含めたいわゆる東京圏では、割合は約40%に上っている。一方で地方では定員割れが目立っており、四年制の私立大では今春、約4割の大学が定員に達しなかった。四国などで特にその傾向が顕著だ。
 地元の高校生が県内の大学に進む割合が1割そこそこというところもある。いったん地元を出てしまうと、就職などでそのまま都会に定着するケースも少なくない。
 こうした現状に地方の危機感は強まる一方だ。全国知事会議は、都市部にある大学の定員増を抑制するよう国に求めてきた。今年5月、東京一極集中是正に関する政府有識者会議が、23区の大学の定員抑制を求める中間報告を政府に提出し、政府は6月、原則として定員増を認めない基本方針を閣議決定した。
 文科省は、既に校舎を整備しているといった場合を除いては、23区内での定員増を認めず、新しい学部を設置する場合は他学部の定員を減らして、総数が増えないよう求めていく。当面は、大学などの設置基準を定めた告示の改正で対応し、2020年度以降は新たな立法措置を検討するとしている。
 思い切った策だけに異論は少なくない。全国の私立大が加盟する日本私立大学連盟は「学問の自由や教育を受ける権利を制約する」と懸念を示している。地方の側でも、一部の知事から「学ぶ機会を制限するのはおかしい」と過度な規制を疑問視する声も上がっている。慎重に検討すべき課題には違いない。
 とはいえ、地方の深刻な状況も座視できない。「各自治体の取り組みだけでは一極集中の緩和は限界」(政府有識者会議)という現実もある。日本の将来を見据えれば避けて通れない問題であり、可能な施策を総動員して取り組むべきテーマといえよう。
 もちろん、都市部の定員を抑えたからといって、東京への若者の集中や地方大学の窮状が一気に解決するわけではない。若者が地元にとどまって学びたいと思えるような大学の魅力づくりや、卒業後の雇用の場づくりを同時に進めねば解決にはなるまい。
 それぞれの大学が地域の特性に合わせて、高齢化や過疎化などの課題を探ったり、産業振興のヒントを見いだしたりする。その上で、必要な人材を育成して地域へ送り出す。学ぶ意欲を高め、雇用にもつながるような好循環をつくっていくことが肝心だ。
 自治体や地元企業との連携も欠かせない。若者の流出を食い止め、その力を地域のために生かすには、官民を挙げた地方の努力も試される。

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