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【高知新聞】 【18歳成人】酒たばこ20歳は妥当だ

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 成人年齢の18歳への引き下げ論議で、警察庁が、飲酒と喫煙を20歳未満に禁じた現行法の規定を維持する方向であることが分かった。
 妥当な方針といえる。酒・たばこは、健康や健全育成への影響が強く懸念され、「18歳成人」化の焦点の一つになってきた。
 競輪や競馬など公営ギャンブルについても、警察庁は同様の姿勢だ。若者が依存症に陥ることを避ける対応として評価したい。
 政府は、成人年齢を見直す民法改正案を今秋の臨時国会に提出する方針だ。成立すれば、明治以来の伝統的な「成人」の定義が変わる。
 波及しそうな成人年齢規定がある法律は他にも約200あるという。10代後半の権利や暮らしが大きく変わる可能性が高い。
 若者が取り返しの付かない不利益を被る事態にならないよう政府は引き続き、慎重な対応が必要だ。国会も論議を尽くしてほしい。
 「18歳成人」化は、憲法改正の国民投票法が2007年に成立し、投票年齢を「18歳以上」としたことで論議が本格化した。
 付則で、選挙権年齢の引き下げや民法の見直しなどを求めたこともあり、16年から改正公選法で選挙権年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられた。
 成人年齢の引き下げは、若者の自立を促すことなどが期待されているが、課題が多いのも事実だ。
 日本医師会は、飲酒は開始年齢が低いほどアルコール依存症を招きやすく、「薬物依存につながるリスク」も指摘する。記憶力への悪影響も大きいという。
 喫煙も、がんや脳卒中などのリスクを高める健康被害が広く認知されている。同会はいずれも年齢引き下げに強く反対している。18歳から認められれば、高校など学校現場の混乱も必至だ。
 少年法も引き下げの是非が論議されているが、見切り発車が許されないテーマといえる。
 成人年齢に一定の統一性が必要との意見はあるが、課題に応じた丁寧な基準づくりが求められる。
 その結果、複数の線引きが併存する可能性がある。飲酒や喫煙なら、なぜ現行規定を維持するのか、理由をしっかりと社会で共有する必要があろう。
 
 18歳選挙権では、学校現場などで主権者教育の必要性が強く叫ばれている。他の分野でも同じだ。
 例えば、18、19歳の民法上の契約行為は、現行では親が取り消すこともできるが、成人年齢が下がれば、若者自身の責任が問われる。判断不足につけ込まれ、悪徳商法などの被害に遭う恐れは否定できない。消費者教育が不可欠だ。
 法制審議会は09年の答申で、民法の成人年齢は18歳が「適当」としつつも、「問題の解決に資する施策の実現が必要だ」と指摘している。
 未熟な若者を守る法制度や行政対応も整えることだ。線引きだけで終わらせてはならない。

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