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【熊本日日新聞】 防衛予算 野放図な膨張許されない

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 日本の安全保障に対する「脅威」が高まっていることは分かるが、それを理由に防衛予算の野放図な膨張は許されまい。
 防衛省は2018年度予算の概算要求で、過去最大の5兆2551億円を要求した。北朝鮮による弾道ミサイル発射が相次いでいる現状に対応するため、新装備を導入して弾道ミサイル防衛(BMD)態勢を強化する。中国の海洋進出への対応として南西諸島の防衛強化策も盛り込んだ。
 今回の要求額は17年度当初予算と比べると2・5%増。14~18年度が対象の現行の中期防衛力整備計画(中期防)で5年間の予算総額上限を24兆6700億円程度としており、一定の歯止めはかかっている形だ。
 しかし防衛予算は安倍政権の下、5年連続で増加している。安倍晋三首相は内閣改造の際、10年程度の防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」の見直しや、19年度以降の中期防の策定を小野寺五典防衛相に指示。防衛政策を抜本的に変える意向とみられる。
 先の日米安全保障協議委員会(2プラス2)では、自衛隊の役割を拡大し、日本の防衛能力を強化することで一致。新たな大綱の下で今後、防衛費の大幅増に踏み切る可能性が指摘されている。
 概算要求には弾道ミサイル防衛の強化策が並ぶ。海上自衛隊のイージス艦に搭載する改良型迎撃ミサイル取得費472億円、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)改良型取得費205億円、新方式の次期警戒管制レーダーの開発費196億円などだ。
 さらに地上配備型の新たな迎撃システム「イージス・アショア」については、金額を示さない「事項要求」として記載。米国と購入に向けた協議を進め、今年末の予算案編成時に詳細な設計費を計上する方向だ。
 イージス・アショアに関して小野寺防衛相は、イージス艦に比べ「予算面で割安感がある。陸上に展開し、安定的に運用できる」と期待感を示す。それでも導入費は1基で約800億円。導入までには数年かかり、現在の危機にすぐに対応できるものではない。
 また改良型のPAC3も落下予想地域にあらかじめ配備しておく必要がある。北朝鮮が複数のミサイルを同時に発射した場合、迎撃は困難だ。「どれだけミサイル防衛を強化しても穴は残る。終わりが見えない」(防衛省幹部)のが実態だ。
 日本はこれまでも米国が主導するBMDを拡充してきた。投じた国費は既に1兆円を超えている。「あれもこれも」が許されるほど財政の状況は甘くないはずだ。装備の実効性や、より効率的な防衛態勢の整備に向けて厳しい精査が必要ではないか。
 防衛費は近隣諸国へのメッセージという面も持つ。北朝鮮や中国の軍拡を理由に、その「競争」に日本も加わるのか。安全保障の在り方については、外交指針と併せた総合的な戦略の検討を進める必要があろう。

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