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【産経新聞】 北朝鮮の核実験 最悪の暴挙を許さない あらゆる手立てで国民守れ

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 国際社会の強い制止を無視し、懸念する周辺国をあざ笑うように、北朝鮮が6回目の核実験に踏み切った。平和を乱す最悪の暴挙であり、厳しく非難する。
 核実験は、朝鮮半島の非核化を求める国連安全保障理事会の決議を踏みにじる。北朝鮮は同決議に反し、日本の頭越しに中距離弾道ミサイル(IRBM)を太平洋へ撃ったばかりでもある。
 世界中が、北朝鮮を無法な国とみなしている。その挑発に屈して、アメを与えることはない。金正恩朝鮮労働党委員長は、核による威嚇をしても、未来は開けないことを知るべきである。
 ≪軍事優先に未来はない≫
 北朝鮮は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に積む水爆の実験に「完全成功した」と主張した。小野寺五典防衛相は、爆発規模が過去最大の70キロトンと語った。菅義偉官房長官は水爆実験の可能性を否定できないとの見解を示した。
 安倍晋三首相が声明で「断じて容認できない」と非難し、外交ルートで厳重に抗議したのは当然である。
 国民の生命と平穏な暮らしが、極めて危うい状態に置かれようとしている。日本は戦後最大の国難に見舞われているといえる。
 大げさな言い方でも、危機をあおるものでもない。暴挙を許せないという明確な意志を有することに加え、危機に対する冷静な自覚と対応が必要である。
 どのように自らを守り、北朝鮮の暴走を阻止するか。日本と日本人は正念場に立たされている。
 政府は、北朝鮮に核・弾道ミサイル戦力を放棄させるため、制裁の強化などあらゆる手立てを講じなければならない。
 同時に、北朝鮮の暴発という最悪の事態に備えることも国家の義務である。安倍首相は国民を守るため、現時点でとれる最善の措置を確実にとれるよう力を尽くしてもらいたい。
 口先だけで平和を唱えていれば危機は訪れないという、独りよがりの「戦後平和主義」は無力かつ有害である。日本のとるべき対応について、国民的な合意が必要だが、忘れてはならないのは、眼前の危機を直視した発想と対応が欠かせない点である。
 核実験や北海道越えのIRBM発射で分かったのは、従来の制裁は北の独裁者を翻意させるのに不十分だったということである。
 菅長官は会見で、これから模索する制裁強化では、原油や石油製品の輸出禁止や制限が選択肢となるとの認識を示した。
 当然のことだ。石油関連の禁輸はもちろん、北朝鮮の金融取引をストップする制裁の実施を、一刻も早く実施に移すべきだ。
 制裁強化について、中国やロシアは後ろ向きな態度を取り続けてきた。核実験強行という事態をとらえ、日本は米国などと協力して両国に翻意を迫ってほしい。
 ≪EMP攻撃の対策急げ≫
 強力な米軍を柱とする軍事的圧力が欠かせないことも、言うまでもない。北朝鮮の暴発阻止のためにも、日本は米韓両国と安全保障面での協力を怠ってはならない。日米韓3カ国が、外交上も軍事上も一枚岩でいることが肝要だ。
 北朝鮮の宣伝に惑わされてはならない。同時に、核・ミサイル戦力の現状と開発の展望について冷静な分析が必要である。
 朝鮮中央通信は、水爆弾頭によって、高さ数十キロメートルから数百キロメートルの高高度で核爆発を起こし、その下の極めて広い領域にわたって電子機器を麻痺(まひ)させる「強力な電磁パルス(EMP)攻撃」が可能になったと伝えた。
 EMP攻撃は、原爆1発で米本土全域にも被害が及ぶ。高高度での核爆発のため熱線、爆風、放射線で直接死傷する人は出ない。
 だが、防護措置のない機器はEMPにより破壊され、電力網、輸送網、通信網が一挙に停止する。電子機器に依存する現代社会は、コンピューター登場前の状態に追い込まれる。
 EMP攻撃は、ミサイルの大気圏内への再突入という難しい技術が不要だ。北朝鮮が現実にこうした攻撃力を保有すれば、米国の「核の傘」は効力を減じ、日本の安全保障の基盤が揺らぐ。
 弾道ミサイル防衛にとどまらず、日米は核抑止態勢の堅持について綿密に協議するとともに、EMP攻撃にも堪(た)えられる基幹インフラ網の防護対策に乗り出してほしい。

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