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【読売新聞】 北朝鮮核実験 脅威を具現化する金正恩政権

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 ◆国際包囲網で解決の糸口を探れ◆

 国連安全保障理事会の数々の制裁決議や関係国の警告を無視する暴走は断じて容認できない。
 北朝鮮の脅威が一段と増大し、世界の安全保障秩序を揺るがしている。国際社会はこの現状を深刻に受け止め、圧力を強化しなければなるまい。
 北朝鮮が6回目の核実験を強行した。「大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用の水爆実験に成功した」などと発表した。

 ◆威力増大に警戒したい

 北朝鮮の核実験は2006年に始まり、昨年は2回実施された。2年連続の実験は初めてだ。
 今回の爆発の規模は、TNT火薬換算で約70キロ・トンと過去最大で、前回の7倍に達した。爆発威力の増大など、技術の大幅な進展は看過できない。
 北朝鮮は、7月に発射したICBMと合わせて、米本土に対する核攻撃能力を獲得したと喧伝(けんでん)し、「核保有国」として、米国と対等に渡り合う目算なのだろう。
 金正恩朝鮮労働党委員長の独裁体制の維持が最優先目標なのは間違いない。
 先週も、北海道上空を通過する中距離弾道ミサイルを発射するなど、挑発を加速させている。
 安倍首相は、核実験について、「より重大かつ差し迫った新たな段階の脅威であり、地域と国際社会の平和と安全を著しく損なう」と非難した。
 異例の首相声明の発出は、強い危機感の表れである。
 政府は国連安保理の緊急会合の開催に向けて、米国や韓国との調整を開始した。
 安保理は、北朝鮮への制裁を一層強化する決議について、真剣に協議せねばならない。

 ◆米は軍事作戦排除せず

 米政府は、北朝鮮が米国への核攻撃能力を持つことは、容認しない立場をとる。
 北朝鮮の核ミサイル問題には、「すべての選択肢」を維持するとの方針に基づき、軍事作戦の実施も排除していない。
 北朝鮮は、このまま核ミサイル開発を進展させれば、米国の攻撃を招き、破滅につながりかねないことを認識すべきだ。
 トランプ米大統領は最近、北朝鮮との対話は「解決策ではない」との考えを表明し、態度を硬化させている。
 米国が関係国と協調し、北朝鮮に対する軍事圧力や制裁、外交努力を組み合わせ、北朝鮮の暴発を抑止することが重要だ。
 トランプ氏は、マティス国防長官やティラーソン国務長官らとの意思疎通を徹底し、北朝鮮政策について統一したメッセージを送らねばならない。日韓首脳との緊密な連携も継続してもらいたい。
 米国は、北朝鮮と取引する中国など第三国の企業に制裁を科し、核ミサイル資金の遮断を図る。日本や韓国も、米国との協力の拡大を検討すべきではないか。
 中国外務省は、核実験に対する「断固とした反対と強烈な非難」を示す声明を発表した。
 習近平国家主席が議長を務める新興5か国(BRICS)首脳会議の初日に核実験が行われ、習氏のメンツはつぶされた。
 習政権が、北朝鮮の体制の不安定化を過度に懸念し、十分な圧力を加えてこなかったことが、北朝鮮の暴挙を許す一因となったことを自覚すべきだろう。
 北朝鮮は、原油の大半を中国に依存している。中国が供給制限に踏み込み、北朝鮮への厳格な制裁に舵(かじ)を切ることが欠かせない。
 ロシアも中国に同調し、北朝鮮の核ミサイル開発の凍結と引き換えに、米韓が合同軍事演習を停止する案を提唱してきた。
 プーチン露大統領は、「北朝鮮に圧力をかける政策は誤りで、無駄だ」との考えも示す。日米韓との足並みの乱れを是正することが求められる。

 ◆的確な情報提供が大切

 安倍首相は今週、露ウラジオストクでの国際会議に合わせて、プーチン氏と会談する予定だ。ロシアが国際包囲網に加わるよう、説得すべきだ。
 韓国の文在寅大統領は核実験を受け、「最も強い対応策」をとると表明した。北朝鮮との対話路線の見直しは避けられまい。
 米国と北朝鮮の今後の動きが不透明な中で、朝鮮半島情勢が緊迫度を高めることが予想される。日本は、北朝鮮の更なる挑発や偶発的な軍事衝突などに備え、厳戒態勢を敷く必要がある。
 北朝鮮の度重なる弾道ミサイル発射や核実験で、国民には不安が生じている。政府は、的確な情報を随時提供し、冷静な対応を呼びかけることが大切である。

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