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【佐賀新聞】 北朝鮮核実験

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 危険な賭けは既に臨界点に達している。北朝鮮が6回目の核実験を強行、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用の水爆実験」だと公表した。米国に自分たちの核保有を認めさせ、冷戦時代の米ソ対立のような構図で体制生き残りを図ろうとしているとしたら、大いなる誤算だ。
 爆発で生じた地震波は過去最大を観測した。2006年10月に初めて核実験を実施してから、北朝鮮は弾道ミサイルに搭載可能な核弾頭の技術を段階的に獲得してきた。核兵器の運搬手段である弾道ミサイルの多様化も加速させている。脅威の度合いは格段に上昇、それに比例して軍事的衝突の可能性も高まりつつある。
 北朝鮮が非核化にかじを切るべきなのは当然だが、北朝鮮に核とミサイルの開発をこれ以上進めさせない一歩として現在の危機を管理する枠組みが必要だ。国連安全保障理事会の決議や制裁には限界があるのは明白だ。だからといって無条件で北朝鮮との対話に応じてしまっては、北朝鮮の核保有を黙認してしまう。
 こうしたジレンマを乗り越えるために必要なのが外交だ。北朝鮮を含めた危機管理の対話を検討するべき時期を迎えているのではないか。制裁の効果を論じ、北朝鮮を核保有国として認める、認めない、といった是非論を展開している間にも、北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威は刻々と高まっているのだ。時間は浪費できない。
 当面の課題は、対話の位置付けを巡りにらみ合う米朝の溝を埋める国際的な外交努力を強めることだ。対話や交渉について、米国はじめ国際社会は北朝鮮の非核化を目標としているのに対し、北朝鮮は核保有国としての地位を受け入れさせた上で、米国との軍備管理を通じた戦略的な共存を目指すための対話だと考えている。
 対話の先に何を求めるのかという目的について米朝が歩み寄るには時間がかかるだろう。しかし、日韓など関係国にも深刻な被害が想定される軍事的衝突という最悪の事態を回避するための選択肢は対話しかない。
 対話の枠組みを調整する上で、これまでの制裁履行で北朝鮮に抜け道を提供してきたと非難されることが多かった中国、ロシアが責任ある役割を果たすよう働き掛けることが重要だ。米国は制裁の厳格な履行を促すため、北朝鮮企業と取引のある中ロの企業への制裁を発動、日本も中国企業への制裁を決めている。
 しかし、こうした中ロへの制裁圧力は、米中、米ロ関係の中で北朝鮮問題を駆け引きに使うという外交ゲームに変質し、北朝鮮の非核化という本来の目的とはかけ離れてしまう懸念がある。政策調整が必要だ。
 日本人拉致問題という深刻な問題を抱える日本も、米国と北朝鮮の橋渡しに乗り出すことを検討すべきだ。世界各国の首脳の中で、トランプ米大統領と最も親密な関係にあるとみられている安倍晋三首相の存在を北朝鮮も注視している可能性がある。
 太平洋に向け北海道上空を通過する中距離弾道ミサイルを発射したばかりの北朝鮮の狙いは、在日米軍や自衛隊の存在をけん制すると同時に、緊張が高まる一方の米国とのにらみ合いを転換するてことして、日本を戦略的に利用しようとしているかもしれないのだ。(共同通信・磐村和哉)

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