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【京都新聞】 大津パルコ閉店  土地香るまち目指そう

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 大津市中心部に若者を呼び込み、にぎわいをもたらした店が消えた。「大津パルコ」が20年余りの歴史に幕を下ろした。
 大型店同士の競争が激化し、消費のあり方も変わる中で店が生き残る難しさを浮き彫りにしていよう。
 テナントの複合型映画館(シネマコンプレックス)は営業を続け、後継店は来春に開業する。とはいえ、知名度があり、地域のにぎわいの核の一つだった店を失い、一帯の地盤沈下に拍車がかかりかねない。
 パルコは渋谷で消費と文化を融合させて若者の日常を刺激し、まちを変えた。大津でも開業当初、テナントは若者向けの衣料が中心で、8割を滋賀県初の店が占めた。複合型映画館も京滋で初めて登場した。県内はもちろん、京都からも多くの客を集めた。
 だが、西日本最大級のショッピングモールやアウトレットモールなど郊外型の大型商業施設が県内に続々誕生し、客足を奪われた。鉄道で数駅以内に新しい百貨店も次々にでき、商圏は縮小。「パルコらしさ」を保つのが難しくなり、売上高はピーク時の3分の1に落ち込んでいた。
 あらゆる商品がそろうネット通販市場は急速に拡大している。車のある世帯は、買い回らずに済む郊外型の商業施設へ向かう。
 消費の変化に対応し切れず、百貨店も全国で販売不振に苦しむ。共存してきた繁華街の客足にも影響が及んでいる。大津市中心部では、商業施設「浜大津オーパ」も2004年に閉店した。
 まちににぎわいを生むには、商品の売買にとどまらず、土地を感じる楽しさが求められる時代だといえよう。その地、その店ならではの個性をいかに磨き、一帯の魅力を高めるか。地域や店同士の連携が鍵を握る。
 足を向けたくなるまちをつくる上で、同市中心部の資源は決して少なくない。
 日々異なる琵琶湖の景色を眺め、湖からの風に吹かれながら散策や食事をする楽しみはネット上にはない。
 まちを歩けば、港町、宿場町として繁栄した時代の面影が歴史を伝える。朝宮茶をほうじたり、湖魚を炊いたりする人々の営みや香りに出合えるのも湖国ならではだ。コンサートやオペラで人を集めるびわ湖ホールやホテルも湖岸にある。
 湖都らしいまちをつくり、にぎわいを取り戻す。それは、暮らす人の日常も豊かにするに違いない。

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