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【西日本新聞】 北朝鮮核実験 冷静さ失わず打開策探れ

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 東アジアの平和と安全を脅かす暴挙に強い怒りを覚える。北朝鮮が6回目の核実験を強行した。
 国際社会の警告を一顧だにせず、核とミサイル開発へ突き進む金正恩(キムジョンウン)政権の無謀と頑迷にはあきれるほかない。
 朝鮮半島を巡る緊張は一段と高まるだろう。米国の出方次第では軍事的な衝突にさえ発展しかねない危険な段階に入りつつある。
 だからこそ、日本を含む関係国は冷静さを失ってはならない。外交的手段で当面の緊張を緩和し、最終的に北朝鮮に核・ミサイルを放棄させるため、実効性のある方策を早急に打ち出す必要がある。
 ●外交解決が大原則だ
 当面の焦点は米国の対応だ。
 米国のトランプ政権は、北朝鮮が「核弾頭を積んで米国本土に到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)」を保有することを、最も警戒している。
 北朝鮮は「ICBM搭載の水爆実験に完全に成功した」と発表した。詳細は不明で、うのみにするのは危ういが、米国が軍事的介入を検討する「レッドライン」に近づいていることは間違いない。
 トランプ大統領は先月、北朝鮮の挑発を受け「世界が見たこともない炎と怒りに見舞われることになる」と、核の使用さえちらつかせて強くけん制していた。
 トランプ氏が強硬発言で威嚇効果を狙ったのか、本当に軍事行動を計画しているのかは定かではない。ただ、トランプ氏の攻撃的な性格を考えれば、かつてのイラク戦争のように、米国が北朝鮮への軍事行動に踏み切る可能性はゼロとは言い切れない。
 無論、それは取ってはならない選択肢である。朝鮮半島有事になれば、韓国で100万人以上の犠牲者が出るとの予測もある。北朝鮮が在日米軍を狙って反撃した場合、日本も戦争に巻き込まれ、甚大な被害を免れまい。限定的な軍事介入を狙うとしても全面戦争へ発展する危険性は付きまとう。
 米国は、外交による解決という大原則を決して踏み外さず、緊張緩和に向けた出口戦略を確定した上で、北朝鮮と実質的な交渉を始める糸口を探るべきだ。
 ●問われる中ロの姿勢
 日本と米国は今回の核実験を受けて、国連安全保障理事会での協議を要請する方針である。安保理は8月上旬、北朝鮮からの輸出を大幅に制限する制裁強化決議を採択したばかりだが、日米は北朝鮮への石油禁輸など、さらなる制裁を求めていく戦略だ。軍事行動を除外すれば、石油の禁輸は最も効果的な圧力といえるだろう。
 ここで問われるのは中国とロシアの姿勢である。中国もロシアも言葉では北朝鮮の核・ミサイル開発を非難するものの、安保理での制裁強化には基本的に消極的だ。両国の消極姿勢の裏には「米国が北朝鮮対策に乗じて、東アジアでの軍事的存在感を強めようとしている」という根深い不信がある。
 冷戦時の思考パターンと言わざるを得ない。北朝鮮のミサイルの射程には中ロも入る。北朝鮮の独善的で不安定な政権が核やミサイルを保有することは、両国にとっても大きなリスクであるはずだ。
 中国とロシアは目先の利害得失に目を奪われず、朝鮮半島の非核化のために、責任ある大国として大局的に振る舞ってほしい。
 ●日本は主体的役割を
 日本はこれまで、北朝鮮問題では米国との連携を最重視し、圧力の強化を進めてきた。しかし、圧力路線にも限界が見えつつある現在、手詰まり感は否めない。
 日本は6カ国協議のメンバーであり、小泉純一郎政権時代には大胆な交渉によって北朝鮮と日朝平壌宣言で合意した経緯もある。ところが最近では「日米連携」一辺倒で当事者としての主体性を発揮できていないのが残念だ。米国に中国やロシア、韓国も含めた関係国の実質的な協議の枠組みづくりへ役割を果たすべきではないか。
 日本では北朝鮮の挑発行為が連日のように報じられ、国民の不快感は蓄積される一方だ。しかしここは感情論を抑え、あくまで冷静に状況の推移を見極めたい。怒りに任せて「いっそ軍事行動を」など極論へ走るのが最も危険だ。
 北朝鮮の暴走を阻止するため、日本政府は必要以上に慌てず騒がず、国際社会の連携強化に向けた粘り強い外交を展開してほしい。

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