Home > 社説 > ブロック紙 > 河北新報 > 【河北新報】 エネルギー基本計画/原発依存脱却へ数値目標を
E050-KAHOKU

【河北新報】 エネルギー基本計画/原発依存脱却へ数値目標を

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 ほぼ3年ごとに行われる「エネルギー基本計画」の見直し作業が先月、始まった。国の中長期的なエネルギー政策を議論することになるが、最大のポイントは原子力発電の位置付けだ。
 有識者会議の初会合で、経済産業省は原発新設に踏み出すことに慎重な姿勢を示し、現在の計画の骨格は維持したいとの考えを明らかにした。
 東京電力福島第1原発事故とその後の世論の動向を踏まえれば、新設や増設を政策に組み込むのはありえない話だが、だからと言って計画の見直しが不要になるわけではないだろう。
 2014年に閣議決定した現在の基本計画がそもそもおかしい。「東日本大震災前に描いたエネルギー戦略は白紙から見直す」と言いながら、「原発は重要なベースロード電源」とみなした。
 ベースロードとは、消費される電力にかかわらず、日常的に一定の出力で発電することを意味している。
 原発事故後、民主党政権は「30年代に原発ゼロ」という思い切った政策を打ち出したが、自民党政権になって原発推進の方向に転換した。実質的に事故以前に戻したわけだ。
 15年には基本計画に沿う形で、30年時点の電源構成比率をまとめた。火力が56%、太陽光などの再生可能エネルギーと水力が合わせて22〜24%、原子力が20〜22%という割合が示され、原発は3本柱の一つとしての役割を与えられた。
 基本計画はもちろん、「原子力一色」というわけではない。再生可能エネルギーの推進や水素社会の実現といったことも盛り込んでいるものの、国民の関心はやはり原子力の扱いだろう。
 原発事故後、国内の多くの原発は長期停止状態に陥り、電源構成比率は16年度で2%にすぎない。10倍程度まで増やすには、かなりの数の原発を再稼働させるか、新たに建設するしかない。
 新規建設は容易でなく再稼働頼りになるのだろうが、原発の稼働は「原則40年」と法律で決まっている。厳密に運用すれば30年で20%以上にするのは困難であり、「最長で20年延長」の例外ルールの適用が必要になってくる。
 原発の温存に向けて例外の大幅な適用を見込みながら、その一方で原子力比率の低減を訴えているのが現在の基本計画である。
 いわば、国や電力各社に都合のいい「お手盛り」のような内容になっている。本気で原発依存度を引き下げたいなら、具体的な手順や数値目標を議論して根本的に手直しすべきだし、その方向性を明確にするのが原発事故後の世論にも沿うはず。
 「悲惨な事態を防げなかった深い反省」や「原発依存度の可能な限りの低減」などと言葉だけ残しても、信用を失うだけだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。