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【読売新聞】 防衛費概算要求 安保環境悪化へ着実に備えよ

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 日本の安全保障環境は年々、険しさを増している。迅速かつ的確に対処できる防衛体制の構築に力を注ぐ必要がある。
 防衛省は2018年度予算の概算要求で、前年度当初比2・5%増の5兆2551億円を計上した。6年連続の増加で過去最高だ。現下の厳しい国際情勢に手をこまぬくわけにはいかない。増額は妥当である。
 北朝鮮の核・弾道ミサイル対策で、米国製の陸上配備型イージスシステムの導入方針を決定した。2基で日本全土を防衛できる。イージス艦に搭載する新型迎撃ミサイルの取得と合わせて、ミサイル防衛能力は格段に向上する。
 費用は1基約800億円だが、概算要求では金額の明示が見送られた。既に様々な新型装備品の導入が相次ぎ、正面装備費の大枠をはみ出しかねないためだ。
 年末の予算編成までに、主要装備の優先順位を再検討し、緊急性の低い施策の経費を圧縮するなど、メリハリが求められる。
 日本周辺における中国軍の動きは、一段と活発化している。
 8月下旬、空軍爆撃機6機が紀伊半島沖を初めて飛行し、航空自衛隊機が緊急発進した。海軍フリゲート艦も中旬に対馬近海を航行した。警戒監視が怠れない。
 概算要求には、最新鋭のF35戦闘機6機の取得費や、探知能力に優れる新型潜水艦1隻の建造費などを盛り込んだ。
 中国は多額の国防予算を投じて軍備増強を進め、能力・技術を大幅に向上させている。抑止力の維持には、新型装備品に予算を重点配分することが欠かせない。
 注目したいのは、離島を占拠した敵を攻撃する地対地ミサイルと、ステルス性を持つ対艦誘導弾の研究に着手することだ。
 これらは島嶼(とうしょ)防衛が目的だが、そのミサイル技術を将来的には敵基地攻撃能力に応用することも見据えているのではないか。
 米国からの装備品購入費が見積もりを大幅に上回るケースが少なくないのは、気がかりである。
 無人偵察機「グローバルホーク」は、20%以上高額になった。防衛省は19年度から3機を順次配備する予定だったが、部品開発に伴う値上がりで納期が遅れるという。防衛省は、米側と腰を据えて交渉し、費用圧縮に努めるべきだ。
 日本の財政事情を考慮すれば、防衛予算の野放図な拡大は許されない。割高になりがちな国産装備品の発注見直しを含め、費用対効果を厳正に見極める戦略的な装備調達が問われよう。

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