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【高知新聞】 【概算要求】膨張続く予算は無責任だ

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 政府の2018年度予算編成に向けた概算要求が出そろった。各省庁の一般会計総額は約101兆円となり、4年連続で100兆円を超えた。
 財政再建が待ったなしの状況にある中、第2次安倍政権は発足以来、予算を拡大し続けている。しかも、借金頼みというのが実態だ。
 前年度当初予算も要求額を編成作業で一定圧縮したものの、過去最大の97兆4547億円で成立。歳入の35%以上を国債に依存した。今回も同様の流れになる可能性が高い。
 国の債務残高は増え続けており、1070兆円を超えている。国内総生産(GDP)比では先進国で最悪の状態にある。各省庁から上がってきた要求の総額が税収の2倍近いこと自体、安倍政権下の財政規律の緩みを象徴していよう。
 予算とともに借金も膨張し、将来世代につけ回すやり方は無責任だ。国会審議で編成作業から政府の姿勢を厳しく問いたい。
 今回の概算要求では社会保障費と防衛費の伸びが目立つ。
 社会保障費は高齢化の進行や子育て支援の拡充のため、やむを得ない部分もあろう。問題は、防衛費が過去最大の5兆2500億円を超えていることだ。
 内容も、新型輸送機オスプレイやステルス戦闘機、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入といった、米軍と一体化が進みかねない項目が目立つ。
 防衛費は16年度予算で初めて5兆円台に乗った。核・ミサイル開発を進める北朝鮮の脅威などに備える必要があるとしても、これほどの拡大路線に国民の理解が得られているとは言い難い。
 特にイージス・アショアは防衛省が金額を示さずに要求した。防衛費をさらに押し上げる恐れがある。
 同様に金額が示されていない要求は他にもある。官邸主導で新たに打ち出した「人づくり革命」の柱になっている幼児教育の無償化だ。
 無償化を大学などにまで拡大するよう求める声もある。国民の関心は高いが、制度設計はこれからで、財源のめども立っていない。
 政権は教育格差の是正や少子化対策に取り組む姿勢をアピールしたい考えだ。支持率の回復も狙うが、財源問題の後回しは許されない。
 安倍政権は経済成長によって財政再建を進める方針を掲げてきたが、シナリオは崩れつつある。
 経済成長率は力強さを欠き、16年度末の税収は7年ぶりに前年度割れした。消費税率10%への引き上げを2度延期しており、歳入増は見通せない状況だ。
 国際公約となっている基礎的財政収支の20年度黒字化も達成は困難な状況といえる。日銀の低金利政策によって国債の元利払いは抑えられているが、政策経費を膨張させては、財政を立て直す意思がないと受け取られても仕方がない。
 借金に頼らない歳入とともに、歳出の抑制に真摯(しんし)に取り組むことが求められる。

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