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【信濃毎日新聞】 クロマグロ 資源保護の視点に立って

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 漁業について再考せざるを得ない。そう感じさせる会合だった。
 韓国で開かれた中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)北小委員会の参加国が、親魚の資源量の回復状況に応じてクロマグロの漁獲枠を増減させる規制の導入に合意した。
 日本の提案に沿った規制だけれど、漁獲枠を広げる際の基準は大幅に引き上げられている。
 海洋生態系の保全を重視する国際社会の日本に向ける目は、厳しさを増している。最大の漁業国として日本政府は、実効性の高い資源保護策を提案し、取り組みを強化しなければならない。
 1961年に16万トンだった太平洋クロマグロの親魚の量は、2014年に1万7千トンと激減した。WCPFCは、24年までに4万1千トンまで回復させるとの目標を立て、30キロ未満の未成魚の漁獲量を02〜04年平均の半分に減らす制限を設けている。
 北小委員会は今回、それでも資源の枯渇が差し迫った場合の緊急規制を協議した。合意内容は、24年目標の達成確率が60%を下回れば漁獲枠を減らし、75%を超えれば拡大を検討、となっている。
 拡大する場合も70%以上を保つ範囲内を条件とした。日本が難色を示してきた、34年までに親魚の量を13万トンにする、との新たな目標でも一致している。
 緊急規制を巡り日本は昨年、若いクロマグロの量が3年続けて低水準だった場合に発動―と北小委員会に提案した。他国は「発動条件が緩すぎる」と反対。WCPFCの本会議でも「むしろ資源管理が後ろ歩きしている」といった批判が相次いだ。
 資源回復と漁獲枠拡大の両立が日本政府の狙いなのだろう。
 クロマグロに限らず、カツオやニホンウナギでも、当の漁業者から、長期的な視点での資源保護を求める声が強まっている。枯渇すれば、自分たちの首を絞めることになるからだ。
 日本国内では今年6月の漁期までに、クロマグロの未成魚の漁獲量が国際合意の上限を超えた。別の魚との混獲、無承認の操業、水揚げ量の未報告が要因になっている。各国の信頼を損ないかねない。政府は混獲も想定し、資源管理を徹底すべきだ。
 漁獲制限が続けば漁業者がいなくなる―。現場からそんな訴えも聞かれる。漁法や海域ごとに割り当てている漁獲枠を取引できるようにするなど、漁業のこれからについて議論を深めたい。消費のあり方も見直す時だ。 (9月5日)

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